73 (どんだけ使ってなかったのこの部屋！) ページ23
｢！っげほっ、けほっ、は、｣
厚いけど、比較的楽に開いたその扉の向こう。
ぎぎい、と軋む音と共に部屋が開け放たれた途端、部屋の中からブワッと漂ってきた嫌な感じと、ただならぬ量の埃が顔面を容赦無く直撃してきて咳き込んだ。こほっこほ、と足元のこんのすけさんもちょっと咳き込んでる、どんだけ使ってなかったのこの部屋！
(しかもやっぱり、ところどころに、)
｢あの靄、｣
真っ暗な部屋の中…その手入れ部屋は、確かに一目見ただけでも、刀というか、武器とか武具を扱う道具が揃った倉…のような部屋に見えた。
十畳くらいの木床広間の真ん中に長机とそれより一回り小さい細机がひとつずつある。何にも分からないあたしでもそこに刀剣男士と彼らの刀が乗ることになるんだと分かった。部屋の中をぐるりと一周するように長椅子があって、壁は細かいものが入った戸棚になっていた。
入口から見て、その中央ふたつの机を隔てた真向かいの壁に、窪んだ空間が四箇所作られていて、なんだろうあれ、石…？炭、？鈍く光ってるのも見える。
｢あれは、刀剣男士を治療したり、鍛刀…顕現する上でも必要な、資材でございます｣
｢足りる？｣
真っ先にそう聞いたあたしを見上げて、こんのすけさんはすぐさま頷いた。
｢大丈夫でしょう。作業をより効率的に運ぶ札も、余りある程御座いますゆえ｣
｢…よし｣
息をまた大きく吐く。あたしはこれから一度もやったことも、見たことも無いことをやろうとしてる。本当に出来るのか、って考えそうになる不安を頭から必死に追いやった。
常識は捨てなきゃ。やらなきゃいけないことだけ考えよう。
｢この部屋、隅の方に靄固まってるから、気をつけて。ごめん、五虎退さんのこと、手遅れなっちゃう前に急いで治したいから、｣
｢構いませぬ。貴方様がここに留まる暫しの間で、大方のものも解消されましょう｣
二人(一匹と一振)が悪影響を受けちゃう靄を処理したかったけど、今はすごく急いでる。断りを入れようとしたあたしを瞬時に察したこんのすけさんはあたしの前に進み出てくれたし、背後の三日月様も頷いてくれた。三日月様の腕に目線を落とす。
｢腕も、治します｣
三日月様は、あたしの目をまたじっと見つめて、優しく微笑みながら頷いたあと、五虎退さん達の乗った担架を引いて、｢ゆくぞ｣と一言言った。
｢手入れの指導、お願いします！｣
背後に扉の閉まった音を聞きながら、スウェットの腕を勢い良く捲った。
74 (…めっちゃむずかしいんだけど！？？！)→←72 ｢呪いは健在のようだ｣
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鳥(プロフ) - 読者様 一つ一つにお返し出来ずすみません！コメントありがとうございます！(三)についてですが、推敲が終わったところから随時公開しております！またお時間空いたり思い出して頂けた時に読んでもらえたら嬉しいです。遅筆ですが楽しんで書いております (7月7日 10時) (
レス) id: 4bf57b87a0 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - 初めまして！一気に見させていただきました。とても面白いです！そして続きが気になります。パスワードおしえていただけないでしょうか？ (6月18日 13時) (レス) @page50 id: 673a00a1b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ＠前垢消えた(プロフ) - 続き楽しみにしてます！！！！！ (2023年4月28日 13時) (レス) @page50 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
テオ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。ここまで読ませていただき本当に面白いと感じました。表現の仕方がとても好きでストーリーも最高です。推敲が終わるのをとても楽しみにしています。無理のない程度で頑張ってください💪 (2023年4月27日 14時) (レス) id: 85b09c3093 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 始めまして！クロです凄く面白くて続きが気になるのでパスワード教えてくださいm(._.)m (2023年3月30日 1時) (レス) @page50 id: 16daf975b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年2月24日 20時
