涙が139こ ページ10
-美 Side-
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オキタ ヲ コロセ。
コロセ。
コロセ。
頭の中で流れる悪魔の様な囁き。
この声だけを頼りに道を辿った所為か、つい、背後の気配を忘れていた。
それが分かれば、もうコイツの腕の中。
久々に感じた人の温もりに、涙は止まらなかったけど、何とか取り出した布を傷に当てがい、応急処置は終了。
「……。」
銀時「……。」
漸く静まった中、お互い黙るのも無理はなかった。
コイツ…−−−−−−−銀時はどんな経緯で、“私”が天人に連れ去られ、なぜ沖田を殺しに来たのか…。
そして初めて見せた、私の剣術と、
銀時「…何か…変わった…か?」
「…ッ…。」
暴露てしまった、私の風貌の変わり様に。
『顔付きに、体つき。』
連れ去られた後、幾度とない“実験”に耐えられず、強靭だった筈の体は壊れ、女らしさとやらが蘇ったらしい。
お陰で、身長は少し縮んで、筋肉は少し落ちた。
その所為で、尋から『女らしくしろ』と言われ、十何年ぶりに一人称を私に戻した。
だけどまぁ、そんな事、銀時に言える筈なく…。
「…少し、痩せただけ。」
そう呟いては俯いた。
静かな時間は、刻一刻と進む。
私に命じられた『沖田暗殺の件』だって、銀時に止められる前に破棄しようとしていた。
ただ、沖田の顔が見たくなっただけ。
ただ、少し触れたかっただけ。
だけど、この思いが良い方向に転ばず、銀時に迷惑をかける始末。
だって今も…、
銀時「…んで、馬鹿な小娘が一体何しに戻って来た。いい加減、全てを話してみやがれ。」
そう言って、背中に回った腕を離すことは無いから…。
本当は、縋りたい。
甘えたい。
全てを…投げ出したい。
だけど…、私にはまだやるべき事があるの。
覚悟を決めて、終わらせなければならない事が…。
こう伝えても、優しい銀時はきっと素直に受け止めないで、私の腕を離さないだろうけど…。
「…銀時…。」
私はこいつの背中に手を回し、耳元に唇を近づける。
─────────…一つ、約束しようよ。
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(近付く、)
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知念菜々(プロフ) - 素敵な小説ですね、思わず泣いてしまいました(笑)これからも頑張ってくださいね (2019年4月26日 12時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - とても素敵な小説ですね・・・!感動しました。( i _ i )主人公や沖田や銀さんの想いが切実に伝わってきました。更新楽しみにしております。頑張ってください! (2016年1月24日 22時) (レス) id: 8fa45dd2aa (このIDを非表示/違反報告)
みかんのポン酢 - 更新楽しみに待ってます!!シリアス好きにとっては美味しい(?)小説ですねwww応援してます! (2015年12月30日 12時) (レス) id: a0bf40ef9d (このIDを非表示/違反報告)
クロゥ - 主人公が何もかも背負っているのを見てる沖田と土方と銀さんなどの気持ちと主人公の気持ちを考えて何度も号泣してしまいました。これからの話も気になるので続き楽しみにしています!お身体に気お付けてください!次の更新楽しみにしています! (2015年10月5日 0時) (レス) id: 076214571a (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 主人公が何でも背負い込む所が辛そうで何度も泣いてしまいました。続き、とても気になります更新頑張って下さい! (2015年8月27日 21時) (レス) id: 26fe401622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 x他1人 | 作成日時:2015年5月26日 23時