涙が137こ ページ8
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病院の窓辺に、佇む黒い影。
その窓の少し開いたカーテンから漏れる月光。
それに照らされ、眠りこける沖田の頬には涙の跡。
幾分、前より窶れ、血色の悪くなったそこに…、
「……ごめん…。」
─────────…触れたのは、白い指。
そして、その影の背後に現れたもう一つの気配は、口を開く。
?「…オイオイ、仲間を裏切る次は、暗殺でもしようってか…?」
途端、満ちた緊迫感。
その相も変わらずヘラヘラと笑う銀色の姿に、黒い影は、沖田の頬を撫でていた手を止めた。
「…何故来た。何故私が…、」
“…−−−−−−−−沖田を暗殺するのを知った。”
そう問う影の顔は、大きなフードに包まれて見えなかったが、
?「んーそりゃあ、お前がまた“下手な感情”に流されそうだったから…かな。」
「…ッ……。」
微かに揺れた細い肩。
それを見逃さなかった銀色は畳み掛ける様に呟く。
?「お前、つい最近変な野郎に連れ去られたらしいじゃねぇか。いや何…、お前の事を攻めてる訳じゃねぇけどよ…。だけど一旦…、」
『武器は仕舞え。』
銀色の口は確かにこう動いたが、音は全て掻き消された。
それは…、
−−−−−−−−−−−−−…ガキンッ
「何も分からない癖に!!!」
漆黒と紅色が、
「何も知らない癖に!!!」
星屑の様に瞬いて、
「煩いんだよ!!!銀時ッ!!!!」
−−−−−−−−−−−−−−…ザシュッ
飛び散った…、
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…筈がなかった。
影に斬られた筈の銀時は立ち上がり、暴れる影を優しく抱き締める。
腹から大量の血を流しながらも…。
銀時「……はぁ、お前の強がりはなんも変わらねぇな。一人で何でも抱えやがって…。なぁ、
…─────────美。」
そして銀時に抱き締められた影…−−−−−−−−美はまた叫ぶ。
「…ッ…何で避けなかった馬鹿っ!!!!」
銀時「オイオイそりゃあ、斬り掛かってきた奴が言う事かよ…?」
────────────…封じた筈の涙を流して…。
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(ぎこちない雨)
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知念菜々(プロフ) - 素敵な小説ですね、思わず泣いてしまいました(笑)これからも頑張ってくださいね (2019年4月26日 12時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - とても素敵な小説ですね・・・!感動しました。( i _ i )主人公や沖田や銀さんの想いが切実に伝わってきました。更新楽しみにしております。頑張ってください! (2016年1月24日 22時) (レス) id: 8fa45dd2aa (このIDを非表示/違反報告)
みかんのポン酢 - 更新楽しみに待ってます!!シリアス好きにとっては美味しい(?)小説ですねwww応援してます! (2015年12月30日 12時) (レス) id: a0bf40ef9d (このIDを非表示/違反報告)
クロゥ - 主人公が何もかも背負っているのを見てる沖田と土方と銀さんなどの気持ちと主人公の気持ちを考えて何度も号泣してしまいました。これからの話も気になるので続き楽しみにしています!お身体に気お付けてください!次の更新楽しみにしています! (2015年10月5日 0時) (レス) id: 076214571a (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 主人公が何でも背負い込む所が辛そうで何度も泣いてしまいました。続き、とても気になります更新頑張って下さい! (2015年8月27日 21時) (レス) id: 26fe401622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 x他1人 | 作成日時:2015年5月26日 23時