涙が140こ ページ11
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─────────…馬鹿な奴。
一つ、寂しそうな、悔しそうな声が響く。
まだ、朝焼けの綺麗な午前四時。
窓辺に座る彼…−−−−−−−−−銀時は、数時間前に此処を去っていった美の事を思っていた。
あの時。
『…一つ 約束しようよ。』
そう呟いて、笑みを浮かべた美。
彼女は特に、自分の事も話さず、今の状況も知らせず、たった一つ、約束を残していった…。
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『…近々きっと、私は大きな選択を迫られるだろう。
どちらに転んでも、悪い結果になる選択。
でもそれは、私一個人に及ぼす問題じゃあないから…。
だから、銀時…。
どうか…、どうか私が皆の悪者のままでいる時に…、
…─────────。』
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銀時「…ッ本当にアイツは…!!」
また、荒げた銀時の声が響く。
あの後、あの“約束”とやらを理解するのにだいぶ時間の掛かった銀時の腕をすり抜け、闇に帰って行った美。
背後から掛かる銀時の言葉虚しく、一度も振り返る事なく溶け込んで行った小さな影。
銀時「…また…ッ…また振り出しじゃねぇか…。」
お前を見つけ出して、
お前を助けて、
お前が背負う荷を降ろさせて、
お前を笑顔にしたいのに。
銀時はまた、独りで想う。
全ては美の幸せの為。
それを俺は、どう実現すれば良いんだろうか。
もう、消えてしまった影に説いても、何も返事は返ってこないが、先に進まないと何も始まらない。
銀時「……一応は、税金ドロボー共にも知らせねぇとな。」
きっと美が生きていたと知れば、嬉しがるだろうあの面々を思いながら、俺はそっと沖田の病室を後にしようと思った。
…のに。
沖田「…ん……ッ美……さ……。」
背後から聞こえた、お目覚めの声に。
『…私を…斬って欲しいんだ。銀時に。』
─────────そう呟いたあの約束が、また、淡々と蘇る…。
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(忘れたいの、)
(数時間前の事)
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知念菜々(プロフ) - 素敵な小説ですね、思わず泣いてしまいました(笑)これからも頑張ってくださいね (2019年4月26日 12時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - とても素敵な小説ですね・・・!感動しました。( i _ i )主人公や沖田や銀さんの想いが切実に伝わってきました。更新楽しみにしております。頑張ってください! (2016年1月24日 22時) (レス) id: 8fa45dd2aa (このIDを非表示/違反報告)
みかんのポン酢 - 更新楽しみに待ってます!!シリアス好きにとっては美味しい(?)小説ですねwww応援してます! (2015年12月30日 12時) (レス) id: a0bf40ef9d (このIDを非表示/違反報告)
クロゥ - 主人公が何もかも背負っているのを見てる沖田と土方と銀さんなどの気持ちと主人公の気持ちを考えて何度も号泣してしまいました。これからの話も気になるので続き楽しみにしています!お身体に気お付けてください!次の更新楽しみにしています! (2015年10月5日 0時) (レス) id: 076214571a (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 主人公が何でも背負い込む所が辛そうで何度も泣いてしまいました。続き、とても気になります更新頑張って下さい! (2015年8月27日 21時) (レス) id: 26fe401622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 x他1人 | 作成日時:2015年5月26日 23時