1 「……………、?」 ページ1
最初はガチで何かのドッキリかと思った。
だって、目が覚めたら全然違う部屋だったから。
上半身をぐら、と起こして、敷布団の上で、呆けた。
「……………、?」
え?
もう一度言おう、本当にドッキリだと思った。
こんな手の込んだドッキリを仕掛けられるほどの大した人間じゃないことは言われなくても分かってる。…や、そもそもそんな美味しいリアクションが取れるわけでもない。何か…サプライズを受ける記念日でもない、こんな、ぶっ飛んだことをする友人も、知人もぱっと思い浮かばない。
昨日は酒も飲んでない。
ということは、
(え、………、誘拐……?)
、何で、こんな和室のど真ん中で、自分は寝ていたのか、
「……、」
これは、現実か?とただただ不信に陥って、手を伸ばして自分の頬に触れる。感触があった。余計不安になった。
や、待って。昨日あたしは確かに自分の部屋の布団にはいって寝た。こんな旅館みたいなところに来た記憶も予定もない。旅行もしてない。だって平日、平日だった。
慌てていつもの癖で、普段枕元に置いているスマホを探したけどどこにも無かった。え、何故。
どこ、ここ。
(待って。と、取り敢えず起きよう)
こんな布団の上にいるだけじゃ間違いなく埒はあかない。
薄暗くて、陰気な印象を受ける部屋の明るさ。
今…、何時なんだろう、
「……、……」
念の為なるべく音を立てないように立ち上がって、広々とした和室を見回した。何畳あるの、大部屋じゃん。そして、すこぶる、趣味が悪い。
薄暗い部屋に目が慣れてくると、立派な和室に不釣り合いな、どぎついピンクや安っぽいレースのクッションやら、何処を見てるのかなんの生き物かも分かんない気味の悪いぬいぐるみがあちこちに散乱してるのが分かった。汚い。ゴミまである。
困惑しか、出来ない。でもとにかく、状況を、自分で少しでも掴んでいくしかないと言い聞かせた。
(パニックだけにはなっちゃだめ、)
部屋の中から体を逸らして、廊下の方に目線をやった。人の気配も、音も無い。ゆっくりと、閉め切られた障子の一枚に歩み寄り、取手に手をかけた。
「…………………は、」
声にもならない息が力無く漏れた。
暗雲立ち込める空の下に広がっていたのは、広大かつ完全な荒野。枯木だけが生え、遠くに見える山々以外建物は全く見当たらない。あたしはその中に不自然に建つ、豪勢ながら酷くボロボロの邸の中にいた。
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ゆり - 面白かったです!!続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(>人<;) (2022年5月4日 17時) (レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです!特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております! (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品!続き、楽しみに待っております! (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか?気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません!教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます!!!絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので!!! (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥 | 作成日時:2020年1月29日 3時