僕のモブ友。【時透無一郎】

3話 ページ5

「Aが風紀委員会に入ると思ってなかったよ。」

「私も時透さんと同じようなこと思ってた。」

　隣の席のAは相変わらずこんな調子だ。こんな調子でも今日は何だか違うような気がする。いつもはこんなに積極性は無いはず。勝手な決めつけだけど、いつもと違う一面が見れた気がして何だか面白い気持ちになった。

　そうだ、ちょっとからかってみたらどんな反応するんだろう。興味本位に聞いてみた。

「Aってまさかとは思うけど、僕と一緒の委員会になりたいとか思ってた？」

「……ううん、逆にこんな影の薄い私が時透さんと一緒の委員会だなんてって思ってた。だって風紀委員会って一番不人気の委員会だから。それ故に人気者な時透さんが不人気のそこに入ろうとするだなんて思っても見なかったなって。あ、でも風紀委員会に入ったのは、物は試しだと思って…それだけなの。」

　え、そんなこと思ってたの。

「へぇー……。てか人気者発言、朝も聞いたよそれ」

「あれ、言ったっけ……」

　なんか思ってもみなかった返事が返ってきた。
　相変わらず自分の過小評価の度が過ぎてる感じがする。
　それにだいたいの人であれば僕と話すだけで意味わからず勝手に顔を赤らめたりする奴らばかりと比べると、なんというか。
　
　僕がからかってるのを気付かずに思ってることド直球に話すんだな、この人は…。

「うん、言った。………からかおうとしたのに、予想外。」

「…………ぇ、私のことからかおうとしたの」

「……ぁ、まぁね。Aって見た目によらずチャレンジャーだよね、初めて知ったよ。一緒の委員会同士、よろしく。」

「あ……よろ、しくね…？……わっ」

　Aが握手をしようと右手を差し出したが、一層とからかいたくなったのでその手を無視して、代わりに頭を撫でてやった。

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