僕のモブ友。【時透無一郎】

11話 ページ14

予鈴10分前に委員会活動を終わらせ、教室に戻る。
　いつも通り席に座るとAの様子が何だかさっきより雰囲気が違うことに気付いた。

「さっきぶりだねA」

「あ、さっきはほんとうにありがとう。」

　声掛けに反応してふわりとなびく後ろ髪。何となく感じた違う雰囲気とはこういうことか。
　いつもぼーっとしていて顔が“無”っていう表情しかしていなかったのが、心做しか柔らかくなっているというか。花みたいな笑顔を浮かべている。

「…………」

「……？」

　あれ？こんな可愛かったっけ

「……いや、なんでもない。
　あの時手を握られてたからムカついただけ。」

　しまった…。こんなこと言うつもり無かったんだけど。

「……どうしても手を離して欲しかったから、時透さんが来てくれて嬉しかった。」

　言うつもりの無い言葉が出てしまったことに対して素直にこう答えたAは再び笑顔になった。
　また、可愛いなって思ってしまった僕はどうしたのだろうか。
　
「大丈夫なら良かった。何かいい事あった？」

「うん、すごくいい事があった。けど秘密」

「……秘密、か。」

　秘密か…秘密って何。

　別の話を引き出してみようと思ったが、そのおかげで自分の首を絞めたかのように、自身のモヤモヤをより一層強めてしまっただけになった。

　今日は調子狂うな……。
　Aってこんな可愛く笑えるんだ…いや、ほんとに反則なのでは？

　今までこんな感情抱いたことが無いし、“モブ友”って言うから変な人だと思ってたんだけど、何だろう。面と向かって接してみたらこういう一面もあったんだって知ることが出来た。僕は“Aを知れる”だけでいいと思った。
　だけどこんなタイミングで狂わされるとは思わないじゃん。恋愛ってこういうもんなの？

「……………………はぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜」

　そっか。あいつ(←我妻善逸)が原因で間違いない。


　一方Aは…＿＿＿＿＿＿＿＿＿

　(す、すごいため息…疲れたのかな。代わってもらってほんとにごめんね時透さん…。絶対にお返しのプレゼント用意しなくちゃ…じゃないと私のプライドが)

　と内心思うのであった。
　

＿人人人人人人人人人人人人人人人人人＿
＞お返しは必ずするという謎のプライド＜
￣^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y￣

　

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