第40話 ページ42
『けど、父さんと母さんは俺達のことを親戚から守ってくれた。悪意に飲み込まれそうだった時助けてくれた。けどさ、逆らったのがいけなかったのか、ある日突然、母さんがポツンって消えちゃったんだ。ほんと、突然。』
どうしてなんだろう。いつも通りの無表情なのに、どうしてこんなに悲しそうに見えるんだろう。
『それで、母さんをさらった親戚が俺たちのことも探してるから、とりあえず父さんと隠れたんだけど、俺は隠れてるだけなんて絶対に嫌なんだ。父さんも色々動いてくれてるけど、顔があっちに知られてる分、あんまり派手に動けないみたい。じゃあ、俺がやるしかなくない?』
そう言って顔をあげ、一人一人の目を見て話す花君の瞳は、静かな復讐心に燃えていた。深い赤の中に、鮮明な赤がチラついていた。
『そんな時に出会ったのが彩。運命だと思った。この子が俺の願いを叶えてくれる天使なんだって。ノートの内容も、ちょっと前に話題になったやつばっかりだったし、もしかしてこいつらだったら、俺の母さんを見つけてくれるかも〜って思って。』
『それで?この探偵チームに入団しようと?』
椅子に深く腰かけ、足を組んだ若武が聞く。
『そう、もちろん金も払う。』
『なぁ、質問いいか?』
これまで目を閉じて、静かに花君の話を聞いていた上杉君がおもむろに手をあげる。
『うん、なに?』
『お前は金も払うつもりなんだろ?』
『そうだよ。』
『じゃあ依頼主と探偵の関係でもいいんじゃないのか?このチームに入る必要なんてどこにあるんだよ。』
それは私も思った。
その上杉君の意見を聞いた花君は、少し赤くなって俯いた。
そしてぼそっと、『だから最初に言ったじゃん、俺も仲間が欲しかったって。楽しそうだなって思ったって。』
『な、なにそれ可愛いぃ!』
はっ!つい大声が!
『俺は認めねぇぞ!!!』
バンッと机を叩いて立ち上がったのは、花君の隣で、先程まで静かに話を聞いていた翼だった。
こ、これは。
タスクの目の奥に白い炎が燃え上がっている。高熱で、触ったら火傷じゃ済まないような炎が。
げ、激おこだぁ、!
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ナナ - とても面白かったです!!早く続きが読みたいです!! (2月9日 8時) (レス) @page44 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
悪役ですが何か?(プロフ) - 花君と翼の絡み、すっごい良かったです!!あなたは、神か!? (2023年4月8日 6時) (レス) @page44 id: 80363cd358 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - はじめまして!いつも読ませていただいています。すごく素敵な作品でした。更新お待ちしています。 (2021年4月2日 15時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 花君が誰か分かったとき、あの時のカラス!!といっていて面白かったですwwそれと花君が言っていた「あのムカつくマスク野郎もいたけど、」のとこも面白かったし、第39話の若武?かな?が「うえっほん、それで、続きを話してくれ」のうえっほん!が一番面白かったですww (2021年4月1日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコ(プロフ) - 未胡成@定期的に病むさん» ある意味危ない展開になってしまった、、。翼を動揺ってなるとこれしか思いつかなかった、笑 (2020年4月28日 9時) (レス) id: 1c8e88b554 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニコニコ | 作成日時:2018年8月17日 0時