第31話(花過去編) ページ33
俺達兄弟が生まれた時、周りの大人は口を揃えて奇跡の子だと騒ぎ立てた。
理由は簡単、俺達が恐ろしい程に力を持った子供だったからだ。
俺が生まれた北沢一門は、先祖代々不思議な力を宿した者が多かった。
その力とは、相手の心を読めるというなんとも下劣なものだ。だが、ハッキリと相手の思っていることが分かるまでの能力者は少ない。大体は、相手から吹き出るオーラで、感情を読み取るくらいしかできなかった。
そんな中で、俺と爽だけは違った。
いくら周りの大人が頑張っても感情しか読み取れない中、俺と爽は小学生の時に心をはっきりと読めるようになっていた。
爽の場合、声となって頭に流れ込み、俺の場合は文字となってその人物の上に浮かび上がる。
故に、俺の小学生時代は文字と嫌悪感と悪意にまみれていた。
爽なんてもっと酷かっただろう。毎日あんなくそみたいな考えが、声となって頭に流れ込んでくるのだから。
俺達の力を聞き付けた親族達は、こぞって俺達を引き取りたがった。
元々、俺の両親は駆け落ちも同然だったので、一族からしたら厄介な存在だったらしい。そんな両親が、俺たちみたいなバケモノを2人も産んだのだから、みんな手のひら返しで俺達に媚びを売った。結局心を読まれてるって言うのに。
けれど、父さんと母さんは俺達を手放そうとしなかった。父さんは、どれだけ親族に詰め寄られようと『ふざけるな!花と爽は物じゃないんだ、そんな見方しかできないお前達にやれるか!』って、顔真っ赤にして怒ってくれた。
母さんは、毎日毎日泣いて帰ってくる俺達を慰め、『あなた達は、私たちの宝物なんだから!あんなひどい人達に指一本触れさせないわ。』なんて、細い腕で抱きしめてくれた。
俺が心の底から信頼できるのは家族だけだった。
母さんも父さんも爽も、いつも心の中は思いやりであふれてる。
俺が小学校高学年になる頃には、このどうしようもない能力の対策も分かってきた。
インフルエンザの予防接種を受けに行った時、注射の針が刺さった瞬間、目の前にいる医者の考えが分からなくなった。
文字にボヤがかかって、よく分からなくなったのだ。
調べてみると、原因は注射の針が脳に繋がる神経を少し掠めたからだということが分かった。
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というわけで、花の過去編です。
人の心が読める能力って、欲しいように見えてよく考えると怖いですよね。
あと2話くらい続きます!
星、コメ、お願いします!
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ナナ - とても面白かったです!!早く続きが読みたいです!! (2月9日 8時) (レス) @page44 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
悪役ですが何か?(プロフ) - 花君と翼の絡み、すっごい良かったです!!あなたは、神か!? (2023年4月8日 6時) (レス) @page44 id: 80363cd358 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - はじめまして!いつも読ませていただいています。すごく素敵な作品でした。更新お待ちしています。 (2021年4月2日 15時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 花君が誰か分かったとき、あの時のカラス!!といっていて面白かったですwwそれと花君が言っていた「あのムカつくマスク野郎もいたけど、」のとこも面白かったし、第39話の若武?かな?が「うえっほん、それで、続きを話してくれ」のうえっほん!が一番面白かったですww (2021年4月1日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコ(プロフ) - 未胡成@定期的に病むさん» ある意味危ない展開になってしまった、、。翼を動揺ってなるとこれしか思いつかなかった、笑 (2020年4月28日 9時) (レス) id: 1c8e88b554 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニコニコ | 作成日時:2018年8月17日 0時