落としたノートは知っている

第13話 ページ13

現在、横で無表情に歩いている花君と、なんとも言えない微妙な雰囲気で歩いております。

もちろん無言、、、

たまらず隣をチラ見してみると、相変わらず表情筋が全く動かない、美形の横顔が目に入った。



『········何？見られるの落ち着かない。』

「ご！ごめん！」

み、見すぎたァ、
無表情な顔から、顔をしかめた花君。

おこってるぅ、

無言だった空間に、なんとも言えない気まずさが流れた。

も、もう無理！


「あ、『ねぇ、立花さん。』」

この空気に耐えられなくなり、口を開こうとした瞬間、意外にも、私より先に花君が喋り始めた。

「な、なに？」

そう答えると、さっきまで無表情に前を向いていた顔が、ずいっとこっちに近づいてきた。

近い！近いよ！
何を考えているのか分からない、真っ赤な目が、余計に緊張を煽る。

『······覚えてない？俺のこと。』


え？


花君、と、どっかであったっけ？

突然の事で、私の頭に？が見えるであろう。

「え、あ、あのー、えと、」

しどろもどろになる私を、ありえないって感じに顔をしかめた花君。


『思い出して。声とか、なんか聞いたことない？』

こえぇ？

なんとか思い出そうとするも、全然分かりません、


『なんだ、覚えてないんだ。残念。』



そう言って、再び前を向いた花君から、嗅いだことのあるような、すごいいい匂いがした。


これ、石鹸の香りだ。


ん？


んん？


「あぁ！！！！！」

あの時のカラス！！

『立花さんってなんでそんなに叫ぶの、、、』

そう言って耳を抑えている花君は相変わらず無表情だったが、なんだかんだで嬉しそうだった。

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