水柱、シリアスクラッシャー ページ12
.
今までとは違う優しい聖母の様な笑顔を浮かべるしのぶに、私は涙がこぼれそうになった。
だって、この子はあまりにも優しすぎる。
私とは、大して年も変わらない年のはずなのに、なぜこんなにも彼女は多くのものを抱えているのか。怒りや悲しみの沸点を誰かに打ち負けたくなるのは人の姓というものだろう。
それなのに、彼女はそれをずっと抱えて、しかも私を最愛の姉と重ねながら、私と接していたのならそれがどれ程つらくどれ程まで残酷なものなのだろうか。
打ちひしがれる。酷くひどく胸が痛む。なんとも苦しい。
「___と、まあ。そんな暗い話はよしましょうか。」
ぱちん、と両手をたたき直ぐ様、何時もの顔に切り替えようとするしのぶだが、私の顔を見てぎょっと驚いたように目を丸くする。
「……え?Aさんもしかして泣いていらっしゃいます?」
「…ぅ、…べ、べつに泣いてないっ、から」
「泣いてるじゃないですか。」
ほら、と手鏡を見せてくるしのぶには矢張り叶わず、仕方なく認めた。
「そうそう、言い忘れていましたが。」
するとしのぶは、急に声のトーンを落とす。
「Aさんの協力は致しませんが、冨岡さんに私の大切で大好きな親友を渡す気はさらさらありませんので。」
「…何故だ、胡蝶」
「……ひえっ」
突然の冨岡の登場としのぶの黒いとんでもない何かが渦巻いた感じのものに一瞬気絶しそうになったが耐えた。だんだん耐久力が鍛えられているような気がする。
「…冨岡、待って。何時からいたの」
「Aの発言の『私はしのぶが話してくれるまで帰らない』のあたりからだ」
「………普通に初めからじゃん。」
冨岡の火に油を注ぐような発言に静かに青筋を立てたしのぶは、段々と腹を立て始める。…笑いながら、とはいっても決して目は笑っていない。
.
255人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
餅蛇(プロフ) - 氷翠さん» わわ!!嬉しみの翁此処にありけり…!(?)そう言ってくださる貴方様が私も大好きです結婚しましょう!() (2019年11月24日 13時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
氷翠 - あぁ・・・好き・・・(語彙力は消え去りました)大好きです! (2019年11月11日 21時) (レス) id: 3797fcfa5c (このIDを非表示/違反報告)
餅蛇(プロフ) - 桜餅さん» 一応小さく概要欄に注意書きをしていましたが、こちらの表記不足だったかもしれません。申し訳ありませんでした。 (2019年10月29日 17時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
餅蛇(プロフ) - 桜餅さん» ご指摘有難う御座います。私も一度此の作品を投稿する時、冨岡さんは無口だとか口下手だとか、言葉足らずだとかという点は考え、直そうかなと試みたこともありますがこの小説は冨岡さんが少し可笑しく愛らしい様にしたかったので固定にするつもりです。 (2019年10月29日 17時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
桜餅 - 冨岡さんは、もっと口下手なんやい! (2019年10月27日 19時) (レス) id: df18c2f2ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:餅蛇 | 作成日時:2019年10月20日 19時