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幸せとは非常に儚く ページ11

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「そうですね…居候は流石に困りますから。」

「やった!」

「今回ばかりは仕方がありません」


 あのしのぶが折れた。彼女が頑なに教えてくれなかった理由を今から知れると思うと嬉しく、思わず歓喜の声を漏らす。まるで大きな勝負に勝ったような優越感に浸れる。

と、お茶を一口、口に含んだしのぶがゆっくりと口を開いた。


「Aさん、私はね。貴方に幸せになってほしいんですよ」

「……しあわせ、に。」

「そうです。」


そう言ったしのぶの顔を見れば珍しくも、全く笑っておらず。真剣な表情で此方をじっと一点に見つめるだけだった。緊迫した空気に思わず息をのむ。


「でも、それは。さ、だって」

「___Aさんは、」

「………む。」

「きっと貴方は優しいから私の幸せを望むのでしょう。」

「……。」

「ならば私も親友である貴方を、…いいえ、親友である貴方に幸せになってもらいたいのです。」



この状況で、私には何も返す言葉がなかった。何故なら私は彼女の過去を知っている。誰よりも彼女と過ごし、誰よりも彼女との付き合いは長かったから。…だから、こそ。

 しのぶの姉を守ることが出来ず無様にも生き残ってしまった私に、そう言ってくれた心優しい彼女になんと言葉を掛けたらいいのかわからなかった。



「姉の死後、私は自我時放棄になって姉さんが死んだ理由を親友である貴女のせいにしてしまいそうになったことがありました」

「!」

「…ずっと、そのことを悔やんでいました。」

そう言ってしのぶは、下を向き悔しそうに下唇を強めに噛む。



「…でもね、私、気づいたんです。本当は貴方を姉と重ねてるということに。…面影が、似ていたんですよ。貴方の、輝いている笑顔が姉さんに。」

「……うん」

「だから、一人で舞い上がっていたのだと思います。姉さんやAさんの気持ちを踏みにじってでも私は報われたくて仕方がなくて。…でも今は、もう違います。」

「……、」

「だって私たちは、親友ですから。」

大切な人には幸せになってほしいと。そう思うのは当たり前のことじゃないですか。


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餅蛇(プロフ) - 氷翠さん» わわ!!嬉しみの翁此処にありけり…!(?)そう言ってくださる貴方様が私も大好きです結婚しましょう!() (2019年11月24日 13時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
氷翠 - あぁ・・・好き・・・(語彙力は消え去りました)大好きです! (2019年11月11日 21時) (レス) id: 3797fcfa5c (このIDを非表示/違反報告)
餅蛇(プロフ) - 桜餅さん» 一応小さく概要欄に注意書きをしていましたが、こちらの表記不足だったかもしれません。申し訳ありませんでした。 (2019年10月29日 17時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
餅蛇(プロフ) - 桜餅さん» ご指摘有難う御座います。私も一度此の作品を投稿する時、冨岡さんは無口だとか口下手だとか、言葉足らずだとかという点は考え、直そうかなと試みたこともありますがこの小説は冨岡さんが少し可笑しく愛らしい様にしたかったので固定にするつもりです。 (2019年10月29日 17時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
桜餅 - 冨岡さんは、もっと口下手なんやい! (2019年10月27日 19時) (レス) id: df18c2f2ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:餅蛇 | 作成日時:2019年10月20日 19時

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