課長がお呼びです。 (ページ45)

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「はい」

答えたら、
錦戸課長は、ほっとしたように笑った。

この笑顔が大好き。

他には何にもいらないの。

月曜日の朝一のロッカー室。

莉菜がワクワクした顔で、
私にすり寄って来る。

翔子先輩が出てくのを見計らって。

「ねぇ、錦戸課長との夜はどうだった？」

ほんとに嬉しそうに聞いてきた。

「あのね、付き合う事になったの。
莉菜には言えてなかったんだけど、
私、錦戸課長のこと、前から好きだった」

一気に言い切る。

言えた。

怖くて、手が震えてて。

ロッカーにつかまってる。

「ふうん。
知ってたよ。そんなの。
でも、錦戸課長は違うんじゃない？
Aの事は遊びだって言ってたよ。
遊んで捨ててやるって。
もうやったの？」

絶句してる私に。

莉菜が薄笑いを浮かべて、
ずりずり近寄ってくる。

怖い。

もう後がない。

「一回したら、終わりかもね。
あんたみたいな田舎者。
見ててイライラするんじゃない？
それは私もおんなじだから」

莉菜、耳元で吐き捨てるように言って。

先にロッカー室を、出てった。

ずるずる、その場に崩れ落ちる。

捨てられるのかな。

そうなのか。

なんだか、納得いく。

だって・・・

錦戸課長みたいな、
あんな完璧な大人の男の人が、
私みたいな田舎者の小娘を相手にするわけないもん。