課長がお呼びです。 (ページ31)

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身構えてたのに。

おとなしい、魚たちを見てるだけ。

悠々と泳いでて、
いくら見てても見飽きひん。

「今、何、考えてるん？」

隣のAに聞いてみる。

俺を落とす、作戦？

それとももうとっくに落ちてるから、
捨てる作戦？

「何も考えてなかった。
こんなこと、久々です。
いつも、なんか、
息苦しいっていうか。
無理してて。
もがいてても、
うまくいかないから・・・」

思ってもなかった言葉が返ってきた。

びっくりしてる俺に。

「でも今日は夢みたいです。
昨日から・・・
夢見てて・・・
ここを出たら、
覚めちゃうのかなって。
何も考えてないわけじゃなくて。
やっぱり、考えてたかもです」

またびっくりすること言う。

「なんで夢なん？」

気付いたら、ちっこい手を取ってた。

「だって・・・
まさか、錦戸課長が、
私なんかと・・・」

それは卑下して見せて、
謙虚なフリ？

本音が見えへん。

「なんで？
Aなら、
いくらでも相手おるやろ。
会社の若い子ぉらも、
みんな狙ってるで」

なんか彼氏いうより、
職場のおっちゃん的発言してもうた。

俺の方が、

なんで俺なんか、
８歳も上やのにって。

疑心暗鬼で。

信じたいくせに・・・

「みんな、適当な相手が欲しいだけだから。
私は・・・」