交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ27)

今日:4 hit、昨日:59 hit、合計:51,486 hit

77 ページ27

おじゃまします、とおずおずと入る。

廊下を抜けリビングの扉を開けると、
彼の愛犬がトコトコやってきた。

中島さんを見上げながら足元に戯れついている。

「犬平気？」

はい、可愛いですね、と言うと

「そうなんだよ、めちゃめちゃ可愛いの。
ボニータっていうんだ」

ボニータを抱き上げ、デレデレな眼差しでよしよしと撫でている。

部屋は男性特有のスッキリしたシンプルな部屋というよりは、スタイリッシュなインテリアの中に彼の好きなものがセンスよく飾られているお洒落で温かみのある部屋だった。

あまりジロジロ見るのも失礼だとは思ったが、好奇心には勝てず軽く見回してしまう。

素敵なお部屋ですねと言うと、
そう？ありがとうと微笑んだ。

「今日はありがとうございます。
お口に合うといいんですけど…」
と手土産の菓子折を渡す。

「え、わざわざありがとう。お昼のあと一緒に食べよう。ひとまずお茶入れるよ。
ソファに座ってて。
あ、気になるのあったらそこらへん見ててもいいよ」

笑顔で言う中島さんは、テレビで笑顔を振りまいているいつもの彼とあまり変わりがなかった。

やはり彼はテレビの時も、プライベートの時もあまり変わらない人なのかななどと思いながら、カウンターキッチンでコーヒーの用意をする彼をぼんやりと眺める。

ソファに座り中島さんを待っているとボニータが私の足元にやってきた。

つぶらな瞳で見上げ、私の足に戯れついている。

いつも何して遊んでるの？と聞いてみる。
よしよしと頭を撫でてあげると尻尾を振りながらクルクル回って、また足元に戯れてくる。

けんてぃーといつもこうやって遊んでるの？
可愛いねぇと言いながらボニータと触れ合っていると中島さんが
「ブラックでもよかった？」と聞きながらコーヒーを持って隣に座ってきた。

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

「ボニータと遊んでくれてたんだ？ありがとう」

「いえ、私の方が遊んでもらってるというか。
癒されますよね」

「ほんとそう！癒されるんだよ！俺の彼女」
とボニータを抱き上げどや顔で言うもんだから

「いいと思います」と真剣に返す。

「はは！なにその反応！」中島さんは笑っている。

「いや、アイドルの彼女としてこれ以上ないくらい100点満点ですよね」と笑いながら言うと

たしかに、と納得しながら
「ボニータ100点満点だって。当然だよな？」
とボニータに話しかけている。

可愛いの大渋滞だ。