交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ24)

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「胸がいたい…」

と言いながらその場にうずくまる。

「えぇ？！だ、大丈夫ですか？風磨君？！」

彼女が隣にしゃがみ込み、
心配して俺の背中をさすり出した。

あーあー。ほんとに胸が痛い。

この痛みの原因も、この痛みを止められるのもキミなのに、そんなやり方じゃ止まんねーんだよ！

ちらっと彼女の顔を伺うと心配と不安がない混ぜになった顔をしている。

こういう形で気を引きたいわけじゃない…

「なんてうっそー」
俺はおちゃらけて立ち上がった。

「え、本当に？どこか悪いとかじゃないですよね？」

彼女も隣で立ち上がって心配そうにこちらを見上げている。

「ごめんごめん、大丈夫。
まじで嘘っていうか…
ほんのちょっとチクっとしただけだから」

少しの本音を混ぜる。
彼女には絶対に本当の意味は伝わらないのに。

「大丈夫ならいいんですけど…
無理しないでくださいね？
体が資本だからしっかり休まないと…」

などと言いながら、そろそろと背をさすってくれる。

純粋な優しさからの行為だからこそ、ひどく酷に感じる。
と同時に彼女の手の温もりにまた胸が締め付けられた。

「まじで大丈夫。心配させてごめんね？」

となるべく明るく言う。

「いえ、私こそ風磨君忙しいのに自分の相談ばかりしてすみません」

「そんなんで体壊さないからAちゃんが申し訳ないって思うことないの。
なんかあったらこれからも相談して？
ほら連絡先も交換したことだし？」

と軽い感じで言うと

「わかりました。ありがとうございます」
とやっと笑ってくれる。

でもどうせキミは自分から俺に連絡してくることはないんだろ？

自分にとっていいように行かない未来が予想でき、
それがまた俺を切ない気持ちにさせた。

やっぱり胸が痛かった。