交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ19)

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あれから数日が過ぎた。

平穏だった。

これが本来の日常なのに、毎夜メッセージの通知を期待している自分がいる。

自分の気持ちが動きつつあることを認めざるをえない。

店に出勤すると、久しぶりに風磨君から連絡が入った。
明日仮縫いのチェックに来店できるとのことだった。

そしてその日の夜、今度は中島さんからメッセージが来た。

通知を見て自分の心が浮き足立っているのが分かる。

こんばんは。スケジュールの空きがわかったよ。
また土曜のお昼一緒にどう？
前回のことも踏まえて一番安全なのは俺の自宅かなって思ってるんだけど。
中村サンも見られる心配しなくていいし。

じたく…？

お昼とはいえ家に行くのってどうなの。

いきなり何か起こるとかはないに決まってるけど。
安全ではあるけどある意味安全ではないような…

中島さんに限ってそんなことない、大丈夫だと思いたいのに、今まで2人きりになった時の距離感を思い出すと、果たして彼のテリトリーで安全だと言えるのか心配になった。

既読にしたから何か返信しないと、と思いつつも快諾も断ることも出来ず、私は心の中で謝りながらその日はそのまま眠ってしまった。

翌日、風磨君が仮縫いしたスーツの調整のために来店した。

私は相変わらず中島さんのメッセージに返信できないでいる。