交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ18)

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店の外に出ると日の眩しさに目を細める。
　

こんなに外はまだ明るかったのか。

こんな日の高いうちから自分はなに顔を熱らせているのだと、頭を振りその場を離れた。

"他の男に見せちゃダメだからね"という彼の最後の言葉が帰り道も私の耳を離れなかった。

甘やかな感情に胸が苦しくなりながら私は家路を急いだ。

家に帰りついてお礼のメッセージを入れる。

今帰りつきました。
今日はありがとうございました。
お話できてよかったです。
明日からもお仕事頑張ってください。

そこまで打って送信しようと思ったが、ふと考える。

これではただのテンプレートのようではないか。

中島さんは、距離感がおかしいのは置いといて、
いつもストレートに気持ちをぶつけてくれるのだから、自分も少し気持ちを出すのが誠意なんじゃないかと思えてきた。

またお会いできたら嬉しいです。

と自分の正直な想いを込めて最後に一文を追加した。

俺も会えてよかった。
また会えるよ、俺が誘うから。
仕事のスケジュールわかったら連絡する。
中村サンも仕事頑張れ。

返信はすぐに来た。

中島健人に仕事頑張れと言ってもらえる人生なんて、自分は前世で相当徳を積んだのだろうな、と思った。