三十七話 ページ4
「まあ、素直に答えてくれるかは分からねぇがな。」
「どういうことだ。」
「クソ生意気なガキだぜ、あれは。」
「ふっ、そういうのには慣れてる。」
お前のお陰でな。と付け足したいのをグッと堪え、銃兎は青年に声をかけた。
「すみません。私、警察の者なんですが、お名前と年齢を伺っても？」
手帳を見せながら近づいてくる銃兎を、青年は驚いた顔で見上げた。
「あんた、警察…なのか？」
「ええ。横浜署組織犯罪対策部、巡査部長の入間銃兎と申します。」
「へぇ…。名前は白鞍A。歳は17。他にも聞きたいことがありゃ、答えてやるよ。」
…なんだ、素直じゃないか。左馬刻も不思議そうな顔をしている。
「俺が聞いた時はこいつ、口答えしやがったんだがな。なんで言わなきゃなんねぇんだ、とかなんとか。」
だったらなんで。俺が警察だから？
でも、こんなに無愛想で凄みのある左馬刻に口答えするような奴が、警察ってだけでビビって素直になるとは思えない。
「警察には、人並み以上の信用があるのかもな。」
「政府の犬に信用、ねぇ。」
左馬刻の余計な一言に、銃兎が噛み付こうとした時だった。
「あの、そろそろこの状況説明してくんねぇかな。」
青年が口を開いた。
着ているものも、持ち物も、名前も、全部がAと同じ。
「…これはやはり、違法マイクによって幼児化させられたAさんだと考えた方が良いようだな。」
「やっぱそうか。」
小さく舌打ちをして、煙草を手にとる左馬刻。明らかに不機嫌だ。
もしかして、
「心配か？」
「あ？」
「この手のものは二週間も経てば元に戻るはずだ。今の所、あまり心配はいらない。」
「…そうかよ。見たかぎりだと、記憶までガキの頃に戻ってるみてぇだし、こりゃ厄介だな。」
「そうだな。」
そうして銃兎は、第三次世界大戦のことから言の葉党のこと、ヒプノシスマイクのこと、Aがここで居候をしていること、幼児化させられたんだってこと、Aに丁寧に説明した。
＿＿＿＿
「…はぁ？いやいや意味わかんねぇ。俺が幼児化させられてて、本当は23歳？あんたら頭おかしいんじゃねぇの？」
まあ、丁寧に説明したからと言ってこんな非現実的な話をすぐに信じる奴はそういない訳で。
Aもやはり、信じなかった。
「そう思うのも当然です。しかし、嘘じゃ無いんですよ。貴方が持っている財布とスマホ、それも23歳の貴方のものです。財布に、身分証が入っていませんか？」
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沙悟浄(プロフ) - ムムさん» そう言ってもらえると嬉しいです。とても励みになりました！ありがとうこざいます。 (2021年4月29日 13時) (
レス) id: a53696e285 (このIDを非表示/違反報告)
ムム - 面白すぎましたけど、 (2021年4月17日 23時) (レス) id: ec0741b59c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙悟浄 | 作成日時：2020年12月31日 15時
