二十四話 ページ27
「ま、まじで?」
と目を丸くする二郎くんに三郎くんが大きなため息をつく。
「はぁー。どうせお前、ろくにこの人の話も聞かずに連れてきたんだろ。これだから二郎は…。」
「う、うっせぇ!!」
揉めだす兄弟達を横目に、申し訳なさそうな顔を
する一郎くん。
「そうだったのか。悪かったな。道案内くらいなら依頼料はいらねえ。どこに行きてぇんだ?送ってやるよ。」
「本当に?有難う助かるよ!俺、駅に行きたくて……、」
と、話している時。ふと、俺の目にとまるものがあった。
「どうした?なんか珍しいもんでも…ああ、もしかしてあれか?」
そう。俺が気になったのは一郎くんが指差す、少し向こうに置いてあるチェスだった。
懐かしい。生きてた頃、友達に教えこまれてよくやってた。結構得意なんだよ。
「なんだよあんた、チェスできるのか?」
二郎くんと言い争っていた三郎くんが、俺に話しかける。
「まぁな。こう見えても俺、チェスじゃ負けなしなんだ。」
「へー…。」
興味ありって顔。
「一局、やってみる?」
「言っとくけど、ガキだからって余裕かましてると後悔するよ。」
強気な子だ。
という訳で一局交えることに。
___
「すご、三郎くん強いな。」
ちょっとピンチかも。本当、子供だからって舐めちゃいけないね。
「そんなこと言って、まだまだ余裕って感じだけど?」
「そんなことないよ。」
「ど、どうなってんだよ。今はどっちが勝ってんだ?」
ずっと見ていたけど、ルールも分からないし勝負の雲行きも分かってない様子の二郎くん。
「……白鞍さんだよ。」
悔しそうに三郎くんが答える。
「なんだよ三郎、てめぇ負けてんのか?」
「うるさい話しかけるな!って、ああ!ちょっと待って…、」
「チェックメイトだね。」
なんとか、俺の勝ち。でもちょっと大人気なかったかな。
「二郎、お前のせいだぞ!お前が話しかけるから!」
「はあ?!俺のせいかよ?!」
と、またまた兄弟喧嘩。
「おいお前ら、いい加減にしろ!喧嘩すんなっていつも言ってんだろ。まして、今は客の前だぞ!」
傍から眺めていた一郎くんが一喝。すると、
「す、すみませんいち兄。」
「ごめん、兄ちゃん。」
二人とも大人しくなった。…すげぇな、一郎くん。
「………もう一局。」
「え?」
「もう一局、やらないか?」
小さな声で、三郎くんがそう言った。
…可愛い。
いいよ、と答えようとすると
「待て三郎。」
一郎くんが口を開いた。
175人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kabi89639329(プロフ) - ムニエルさん» そうですね!お話を全部読み返してみると他のディビジョンもちょいちょい漢字になっていたので、気づけた限りでですが直しておきました!ご指摘有難う御座いました。 (2020年11月11日 22時) (レス) id: 4fbf6d1bb1 (このIDを非表示/違反報告)
ムニエル(プロフ) - 横浜じゃなくてヨコハマだと思いますよ〜漢字ではなく全てカタカナだったかと思います (2020年11月11日 21時) (レス) id: f8f9255459 (このIDを非表示/違反報告)
kabi89639329(プロフ) - レイさん» 本当ですね!!直しておきました。ご指摘して下さって、有難う御座いました!! (2020年10月28日 17時) (レス) id: 4fbf6d1bb1 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - こんにちは!プロローグの発泡というところですが、発砲だと思います。 (2020年10月28日 11時) (レス) id: a6221f0838 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沙悟浄 | 作成日時:2020年8月9日 15時