レッツ観劇 ページ4
＊二週間後＊
｢いよいよか...どんな奴か見ておいてやろうじゃないか｣
どうにかチケットを手に入れた俺は今MANKAI劇場の前にいた。
今日この舞台に有栖川誉が出演する。
一度だけ、彼女が話してくれた。元恋人のことだ
......人の気持ちが分からない、変わり者の詩人の話。
元カノの元カレ、なんてすごく無関係な人間なのに、どうして俺はこんな所まで追いかけに来ているんだろう。
｢...いや別に、舞台が面白そうだから来ただけだし！？それだけだし！｣
｢まま、あの人ひとりで喋ってる！｣
｢しっ、指ささないの...ほらいくわよ...｣
＊＊＊＊＊
｢｢｢｢｢ありがとうございました！｣｣｣｣｣
盛大な拍手。役者も皆満開の笑顔で応えている。
そして俺は
｢う゛う゛う゛う゛う゛っっっ.........！｣
滅茶苦茶泣いていた。
｢う゛っうっ...ずび...ううぅ.....尊いっっ...｣
持ってて良かったバスタオル。そう、バスタオルだ。大きいやつ。
｢うう...うお゛お゛ぅ゛...｣
｢おーい、音無だよな？大丈夫か？｣
｢お゛ぉ゛ん゛......だいじょばな゛い゛ぃ......え゛っ、伏見？｣
｢ずっと帰らずに泣いてるから心配になって来てみたんだが...｣
苦笑する伏見の後ろには、優しそうな笑顔の女の子。
やたら静かだと思ったら、全然人がいない。泣いてる間に他の客はみんな帰ったみたいだ。
｢臣くんの友達かな？見に来てくれてありがとうございます！私、この劇団の総監督兼主宰をしている立花いづみといいます。｣
｢俺は音無Aです、舞台すごく良かったです...！本当に感動して、おれ...う゛っ、ずび、とくに最後のあのシーンと゛か゛...うううっ...｣
｢えっ！？また泣くの！？か、帰ってきてー！｣
｢はは...すまんカントク...おらおら音無ー、帰っておいでー｣
｢お゛お゛ぉ゛ぉん......｣
｢す、すごい...バスタオルがびしょ濡れになりそう...とりあえずここにはずっといられないし、一度連れて帰ろうか｣
｢そうだな......｣
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作者名：プッチン | 作成日時：2017年5月8日 0時
