プロローグ ページ1
「ごめんなさい、もうあなたとは付き合えない」
乾いた風が肌を刺すような、寒い日の事だった。
適当に入った小さなカフェで、俺は付き合って2ヶ月の彼女にフラれた...。
それから、駅まで彼女を送って、その後ろ姿が人混みに紛れて消えていくまでの間
俺は彼女に言われた事を何度も頭の中で反芻していた。
『貴方は...優しいけど、そうじゃないの。』
『あの人とはまるで逆だけど...でも、あの人はある意味正直者だった。貴方みたいに、嘘の気持ちは言わなかった...』
なんだよそれ、なんて言えなかった。全部本当の事だ。
いつの間にか「彼女が好きでいてくれる俺」を演じているようだった。
「今では」そう思っている。
けど、その時の俺はつい苛立ってしまって。
『なんだよそれ、あの人あの人って。『壊れたサイボーグ』だなんて言っておきながら結局忘れられないんだろ!』
言った瞬間後悔したけど遅かった。
そこからはもう耳を塞ぎたくなるような彼女の猛反撃。
そして言い合いの末に、『もういいわ』とだけ言って、彼女は駅の中へ消えていったわけだ...よい子は外で喧嘩しちゃダメだぜ。
「はぁ.........」
「あ、あの!」
「え?あ、はい?」
振り返ると赤い髪が特徴的な少年がいた。俺とは比べ物にならないぐらい純粋な目をしている...
「MANKAIカンパニーです!...よかったら、お芝居見て元気出してください!」
「...ありがとう」
劇団か...そういえばこの天鵞絨町は演劇が栄えてるんだっけ。
前は芝居を見に行く事も多かったけど、最近はチェックすらしてなかったな。
冬組公演...
全員男性なのか...いや一人美人すぎて性別不明気味だけど...
ん?
この名前は...
「有栖川誉!?」
195人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:プッチン | 作成日時:2017年5月8日 0時