一抹の不安 ページ37
時が止まるほどに重なった瞳は
互いに逸らすことはなく
私が照れ始める前に
照れ笑いをした太輔君が
私の頬を
親指で優しく撫でた
そして
その指が
濡れた私の唇へ
ゆっくりと移動した
私｢…。｣
太輔｢…。｣
私｢…しないからね。｣
太輔｢…。｣
私｢キス…しないからね。｣
太輔｢…。｣
私｢…。｣
太輔｢…分かってる。｣
私｢…。｣
太輔｢…。｣
私｢…。｣
太輔｢待ってるから。ずっと。｣
私｢…。｣
太輔｢…。｣
私｢…いつまでも待たせるかもしれない。｣
太輔｢それでも待つよ。｣
私｢…一年とか…かかるかもしれないんだよ？｣
太輔｢全然、待てるから。｣
私｢…もしかしたら、いつまでも無理って言い続けるかもしれないからね。｣
太輔｢それでもいい。｣
太輔君の気持ちを
ただ試そうとしただけなのに
ポッと胸に湧いた
一抹の不安
私｢…私って、そんなに魅力ない？｣
太輔｢え？｣
私｢いつまでも待てちゃうほど、そこ重要じゃないってこと…？｣
太輔｢違うよ。｣
私｢だって、いつまでも待てるって言ったじゃん…。｣
不貞腐れたように
太輔君をじとっと見上げたら
突然
太輔君のその表情が一変した
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作者名：kaanaa
| 作成日時：2014年11月30日 23時
