「ごめん。」 ページ27
――コンッ…コンッ…――
遠慮がちに二度
扉がノックされたのは
太輔君の前から逃げ隠れて
10分ほどの時が経過した頃だった
太輔「…A。」
私「…。」
太輔「話がしたい。」
私「…。」
太輔「…。」
私「…。」
太輔「開けるよ…。」
心は決まらずにいた
でも
今ある想いに正直に
そして
全ては
太輔君の心次第だとも思った
私の背から
ドアノブをひねる鈍い音が聞こえ
リビングの光が足元を灯し
そして
また
暗闇が部屋を包むと
太輔「…俺、ほんと泣かせてばっかだよな。」
私「…。」
太輔「A、泣き虫じゃないのにな。」
私「…。」
太輔「ごめんな。」
私「…。」
太輔「…。」
私「…。」
太輔「…。」
私「…苺取られて泣いたわけじゃないからね。」
太輔「…。」
私「…。」
太輔「…分かってるよ。」
私「…。」
太輔「…。」
私「…悪いのは、全部太輔君なんだからね。」
太輔「それも分かってる…。」
私「…。」
太輔「…。」
私「…。」
太輔「…。」
私「何で…今更…。」
太輔「…。」
私「…もう…逢わないつもりだったのに…。」
太輔「…。」
私「勝手だよ…太輔君は…。」
太輔「ごめん。」
謝ったら
謝った分
あの時に感じた
数多の辛い記憶が消去されるのであれば
全消去されるまで
ひたすらに伝えられる
太輔君の「ごめん。」という言葉が
幸福へ向かう
最後の試練だと思えるけれど
人間の脳なんて
そんな簡易的な仕組みなはずはなくて
複雑な上に強情で
感情にねじ伏せられてしまう弱者なのだ
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作者名:kaanaa | 作成日時:2014年11月30日 23時