変わらない悪戯な笑顔 ページ25
太輔「ん?」
私「…。」
太輔「どうした?」
私「…あ、いや…あの…。」
太輔「ん?」
私「…。」
太輔「…。」
私「…どこも売り切れだったから。」
太輔「え?」
私「駅前のケーキ屋さんと、コンビニ三軒、寄ったんだけど買えなくて…。」
太輔「…。」
私「残ってるお店、あったんだね…。」
太輔「…。」
私「…。」
太輔「これ、一か月前に予約してたやつだから。」
私「…。」
太輔「…。」
私「…予約?」
太輔「そ。できた。食べよ。」
綺麗に切り分けてくれたケーキを
お皿に乗せて
私の目の前へ差し出してくれた
大きな苺が一つ
真っ白な生クリームの上に乗せてあるそのケーキを
じっと見つめながら
思うことは
ただ一つ
このケーキを予約した一ヶ月前は
誰と一緒に
クリスマスを過ごすつもりだったのだろう
誰のために予約した
クリスマスケーキだったのだろう
考えれば
考えるだけ
喉元が締められて
フォークまでも手が伸びなくて
太輔「美味しいから、食べてみて。」
私「…。」
太輔「…。」
私「…。」
太輔「食べないなら、俺もらうけど。」
全ての会話がうわの空だった私の
ただ
ぼやけて映る視界から
色鮮やかで艶やかな苺が
スッと消えた
私「…あっ。」
慌てて
その苺の行方を追えば
そこら一帯には
既に
姿かたちもなく
太輔「うまっ。」
そう言った太輔君の
変わらない悪戯な笑顔が
幸せだったある一時の記憶を
鮮明に思い起させ
一気に涙が溢れ出た
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作者名:kaanaa | 作成日時:2014年11月30日 23時