手紙 ページ43
泣き腫らした目をアイシングしようと
キッチンに駆け込んだら
何かにつまずき
あわや大惨事...
私「もぅ‼何?」
私の八つ当たりを一心に受けた足元の何かに
嫌悪感いっぱいに視線を落としたら
玉森さんから太輔経由で手元に戻ってきた
ハンバーグが入っていたタッパー入りの袋
このタイミングで...?
何とも引きが強い...
わざとらしいくらいに大きな溜め息を吐きながら
床に置き去りのままのその袋を
仕方なく拾い上げて
中を覗いたら
綺麗に洗ってあるタッパーたち
その中に
2つ折りにされている紙が入っていて
きっと玉森さんから
ご丁寧にお礼のひと言だろうと
誠実な人だなぁ...って
何の気なしに取り出してみたら
乾いたはずの瞼に
流し損ねた涙が溜まって
袖で涙を拭いながら
玉森さんの優しさが存分に詰まった手紙に目を通した
『Aちゃんへ
ハンバーグすごいおいしかった。
ごちそう様でした。
Aちゃん料理うまいんだね。
また今度何か作ってねー。
まだ2回しか会ったことないけど
Aちゃんには笑顔が似合ってると思うよ。
今度会う時は笑顔で会えたらいいね。
それまでにもし泣きたくなることがあったら
かけつけて俺が笑わせてあげるからね。
これ俺の携帯
↓
090xxxxxxxx
いつでも電話待ってます。
玉 森裕太より』
悲劇のヒロインじゃないけれど
どちらかといったら
悲劇は太輔の方だけど
玉森さんからもらった
丁寧な字で
所々に震えた字の目立つ
真心いっぱいの手紙を胸に当てながら
残りの涙を
目一杯絞り出した
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作者名:kaanaa | 作成日時:2013年3月25日 0時