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敬語はなしで ページ22

しばらくその姿を目で追っていたら



カウンター内の店員さんと少しお話をした後



カウンター椅子に座り込んでしまったから

 

 

 

 

差し伸べてくれたツルの一声は



ご丁寧にも一声で終わってしまったのね?なんて



再び孤立無援になった私が



ゆっくりとテーブルに顔を戻したら



数分も経たないうちに



目の前にコトン...と置かれた飲み物入りのグラス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉森「お待たせ。これでいいんだよね?」

 

 

 

 

どうやらわざわざ持ってきてくれたようで

 

 

 

 

私「あ、ありがとうございます。」

 

 

 

 

ペコリと頭を下げたら

 

 

 

 

玉森「いいえ。」

 

 

 

 

煌びやかな笑顔でそう言うと



何やらキョロキョロしだす玉森さん

 

 

 

 

私「どうしまし...



玉森「あ、あった。」

 

 

 

 

目的の物か何かを見つけたらしい玉森さん



一瞬



私の前から風のように消え去って



何だったんだろう?と首を傾げる私の元に



また風のように



今度は丸椅子を抱えて戻って来た玉森さん

 

 

 

 

私「椅子?」



玉森「うん、椅子。...そういえば名前...。」



私「あ、Aです。」



玉森「Aちゃんの隣、席空いてなかったから。」



私「...?」



玉森「ずっと一人でつまらなそうにしてたでしょ?」



私「見られてました?」



玉森「うん。」



私「私、クラブって初めてで...決してつまらないわけじゃないですからね?ただ、ちょっとどうしたらいいのかわからなくて不安だっただけです。」



玉森「ガヤの友達なんだよね?」



私「あ、はい。そうですけど...何で?」



玉森「今日の集まり、ガヤ主宰だから。何繋がり?」



私「私、太輔の同級生です。地元が一緒で。」



玉森「じゃ、年上だ...ですね。」



私「あ、慌てて敬語に戻さなくて大丈夫です(笑)。」



玉森「じゃ、お互い敬語はなしで。」



私「わかりました。」



玉森「それ、敬語じゃない?」



私「あ、そうでした。」



玉森「ほら、また(笑)。」

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作者名:kaanaa | 作成日時:2013年3月25日 0時

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