クラブデビュー ページ18
あの日から何の音沙汰もなかった太輔から
久々に連絡があったのは
あれから数日後
『あの日はごめん。』
『今週土曜、渋谷の○○ってクラブに7時に来て。』
たった2行の文
絵文字だってない
ごめんの理由もない
ただ伝えることだけを伝えただけの簡素なメール
モヤに覆われた私の心は晴れることはなく
それでも
土曜の予定を手帳で確認して
ガラ空きなことがわかると
『この前のことは気にしないで。』
『土曜、了解です。そこで何があるの?』
こちらも簡素なメールの返信をした
どうやら仲間内の集まりがあるようで
共通の地元の友人も数人来るようで
メンバーこそ聞かなかったけれど
久々に地元の空気が吸えるような気がして
きたる土曜日まで
不安半分
期待半分
そわそわした日常を送った
私「ここかな?」
前日ネットで場所をリサーチ済みのはずなのに
散々道に迷った挙句
やっとこさめぼしい建物を見つけられたのは
指定された時間より30分も過ぎた頃
黒服のドアマンみたいな人に名前を聞かれ
まるで不審者を見るような疑わしい目で
全身くまなくチェックされ
条件をクリアしたらしい私は
ようやく
重厚な扉の奥へと進むことができた
今宵クラブデビューの私は
右も左もわからない不慣れな状態で
やたらと暗い通路を通り抜け
一際光を放つ
開放的なフロアーに辿り着いた
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作者名:kaanaa | 作成日時:2013年3月25日 0時