◇30.其れを権力乱用と言う�� ページ42
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──およそ数時間前
完治した腕の調子も程々に、Aは大和桜陸軍第一部隊執務室で書類を綴っていた。
殆ど決定された事項に承認の判を押すだけの簡単な作業だが、青春真っ只中の十七の青年からすると、退屈に感じるのも無理はないだろう。
今にも大口を開けて出てきてしまいそうなあくびを噛み殺して、小さく息を着く。
「…珈琲でも淹れるか」
睡魔を殺すため、椅子から重い腰をあげると、シックな造りの戸棚に手をかけ、コーヒーカップを取り出す。
日頃から紅茶よりも珈琲を好んで飲んでいるため、Aのカフェイン中毒に拍車が掛かるのも否めない。
が、これが手っ取り早い方法であり、甘味が口に合わないAからすると、ちょうど良いのだ。
…数週間のブランクがあった分、取り返さなくては。
そう思いながら、Aはインスタントコーヒーの缶に手を伸ばした。
勿論、この時間帯に部屋に足を踏み入れる者など殆ど居らず、安心し切っている状態。
Aは完全に気が緩んでいた。
しかし、その直後。
なんの前触れもなく、突然沈黙を保っていた扉は、青天の霹靂のように大きな衝撃音を立てて開いた。
突飛な出来事に、奇襲でも掛けられたのかと、本能的にAは素早く腰に携えた護身銃に手を掛ける。
ひやりとした鉄の感覚。戸棚の影を背にし、身構える。いつでも相手を撃ち殺す準備が整った…そのすぐ後、開いた扉の前から低い男性の声が響いた。
「………旭…Aだな？」
「…………は、」
ノックも無しに入室するとは何処の礼儀知らずだ──とは口が裂けても言えない。
若干伸ばされたしなやかな金髪は、僅かに窓から入った風が踊るだけで、ふわりと揺れる。
「え────」
相手の顔を見るなり、Aは紫檀色の瞳を大きく見開いて、びくりと跳ねる。
銃は手の内から滑り落ち、あろうことか、体は勝手に動いて、意志に関係なく敬礼姿勢になる。
硬直したまま体はぎこちなくピンと背筋を伸ばし、額からは汗が伝った。
圧倒感に、心臓は狂ったように早鐘を打ち、「この人には服従せねばならない」という本能が、Aを完全に萎縮し切らせていた。
……成程、そこに尊厳な態度で立っていたのは
「………そッ……
────総統閣下……！？」
恐れ多くも、W国軍の頂点に立つ最高権力者。
…グルッペン・フューラーその人である。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
