◇23.憂い�� ページ33
そう軍帽の下で、にこりと白鬼が笑う。
真っ直ぐに気持ちをぶつけてくる彼は、彼本来の素直さがひしひしと感じられるほどの明るい声音で、簡単に言ってのける。
そんなひとらんらんの様子に、トントンはポカンと口を半開きにして呆気に取られる。
こちとら子供じみた嫉妬心で気がおかしくなりそうだったというのに、この男と来たら、そんな事には微塵も気づかず、むしろこんな男前な言葉を投げかけてくるのだ。
(ああ、俺はこいつのそういうところに…)
──惚れたんじゃないか。
すると、今までぐだぐだと考えていた事が急に馬鹿らしくなり、トントンは小さくため息を漏らす。
「…はぁ。
そうやな…お前はそういう奴やもんな」
「どういう意味だよそれ」
流石、恋路に鈍感と言われているだけはある。
本当にここまで来ると、(わざと)露骨にアピールしているゾムやオスマンが気の毒になってくる。
「いやぁ、ほんま天然タラシやな…って」
「はぁ…？」
「お前は知らんでええわ…あわよくばずっとそのままで居てくれた方が、余計な心配せんでええから」
「？？？」
心底意味がわからない、と眉間にしわを寄せるひとらんらんの表情に、耐えようにも耐え切れずに笑みが口角に浮かぶ。
しかし、そんな単純な言葉で絆される自分も、中々のものだと。
先程まであんなに様々な感情に振り回されて、我にもなく衝動的に行動してしまったというのに。今やそのどす黒く絡みつく心緒は何処かへと消え失せてしまったでは無いか。
(憂うだけ無駄…やな。
こいつは"そういう人間"やから。)
どこまでも純潔で、穢れなき白雪のごとく。
きっと誰にも染まらない、強かで高潔な白。
凛と前を見据える姿は生娘のような可憐さを持ち合わせ、その中には誰もがうっとりと心奪われずには居られない色香を秘めている。
だからこそ、
彼を捕らえて縛り付けることなど──できない。
してはいけないのだ。
憂いや独占欲で彼を閉じ込めることは、出来ないのだと、痛い程理解してしまう。
彼は。
自由であるからこそ、更にその輝きを増すのだ。
太陽の光を受けてこそ、白は美しく輝く。
それがひとらんらんという人間だ。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
