◇18.多福�� ページ26
その様子に、暫く呆気にとられてポカンとしていたひとらんらんだが、はっ…と弾かれたように顔を赤くする。
「もう…っ、からかわないで」
「そんなつもりは…！
ただ本当の事を──あ、えっ、いやその…」
もごもごとただ必死に歯切れの悪い弁明を繰り返した。その姿は傍から見ると、実に滑稽極まりないだろう。
2人してしどろもどろになっている状況に、若干の居心地の悪さと、可笑しさを感じながら、Aは動揺し切った焦り声を発する。
「た、隊長…貴方は、その…。
ご自身を過小評価していらっしゃいます。
貴方は、貴方が思っている以上に魅力的な方だ。───それを言いたくて…つい軽率に…」
「も、やめて…っ、恥ずかしい…」
「…！すみま、せ…」
ひとらんらんが過ぎた羞恥に、真っ赤に染まった顔を両手で覆って、小さく縮こまる。
その様子に、マシンガンのごとくペラペラと次から次へと言葉を紡いだAの口がぴたりと動きを止めた。
そして、冷静さを取り戻すと、自分が今の今まで随分と恥ずかしい台詞を──ましてや想い人に、率直にぶつけていたことに気づき、ぶわりと顔に熱が集まった。
「…と、とんだご無礼を…！
決して疚しい思いがあった訳では──」
("ない"───と言うと、嘘になるな…)
…と、心の中で大きな嘘を付いたことに対して罪悪感が芽生えるが、馬鹿素直にその心内を明かすのは、阿呆のする事だ。
どうにも、Aは嘘をつくのが苦手な方だが、流石に『貴方のことを恋慕しています』等と、下心を丸出しにするのは如何なものかと思う。
…それにその勇気もない。
故に、嘘をつく他ないのだ。
「…分かってるよ…ほんと、上手だね。君」
ふぅ、と落ち着くように小さく吐息を漏らしたひとらんらんだが、依然顔を上げると頬がほんのり朱に色付いている。
(…くっ…照れている隊長も可愛い…)
あまりの愛おしさに、心臓が握り潰されるかと思うくらいぎゅう、と締め付けられて、耐え忍ぶように衣服の胸元を強く握る。
何度惚れさせたら気が済むのだ、
この人は───と。
「…でもそういう台詞は、男に言うものじゃないな。しかも、君より一回りも歳上の男なんて」
俺、君からすると おじさんなんだからね？
…と、ひとらんらんは困ったように笑う。
それすらも愛おしくて、自然とAの頬が綻んだ。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
