◇15.反省�� ページ23
(どういうことだろうか…)
不器用、という含みのある言い方にも、疑問を抱きつつも、デーニッツの方へ体ごと向き直る。
すると、デーニッツが任務内容を記した1枚の紙を手渡し、そこには事細かに場所や目的まで書かれていた。
偵察任務…しかし。
「…偵察、ですか
どうしてこの時期に？」
それに何故今、この国を？
様々な疑問が次から次へと脳内を巡り、相手の意図するところを手探る。
(だってこの国は…)
もう没落国家そのものである。
数年前の戦争で敗北した『黄金の国』と呼ばれた美しかった東洋の島国は、今やその影もなく、なんの力も持たない。 復興中…と言ったところだが…
考えれば考えるほど分からなくなる。
一体目的は何なのか。そしてわざわざ秘密裏に夜個人に任命した理由とは、如何に。
総統閣下直々の命なのだ、重要な事項が含まれているはずである。
そんな夜の様子を見た後に、デーニッツがもっと近づくよう手招きをして、耳打ちをする。
「…夜さん、偵察というのはあくまで名目です。
形式上、そういう任務という事になっていますが」
「…やはり真の目的があるのですね」
「ええ。…少し私的な事ですが」
デーニッツは笑顔の中に少し困った様子を見せながら、小さく笑う。
一体なんだろう、と身構える夜の幾つか予想は、全くと言って良いほど当たる事がなく、寧ろ大きく外れた。
そう。デーニッツの口から出た真の目的とは…
きっと誰も予想しえなかっただろう事であった。
「─"おつかい"をお願いしたいのです」
まるで子どもに言うように、デーニッツは優しい声音を保ったまま、ひとつの依頼をしてくる。
「…お、おつかい、ですか…？」
「ええ。とあるものを買ってきて頂きたくて。
…私が足を運んでも良かったのですが…これは日本文化に詳しい方の方が適任かと」
そう言うと、デーニッツは先程の任務内容を記した1枚の紙を裏向けるように指で指示すると、裏には達筆な文字で色合いとサイズが書かれており、その隣には…
白い、桜を散らしたデザインの──着物の写真。
それを見て直ぐに分かった。
そして…誰への贈り物か、ということも。
(成程、だから提督は"不器用な方"、と…)
着物とは、何処か着る人を連想させる。
つまりその着物の色、そして桜花…
思い当たる人は一人しか居ないだろう。
「…拝命しました、提督」
夜は敢えてそれ以上の事は追求せず、君主の不器用な優しさを微笑ましく思いながら小さく笑った。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
