◇13.反省�� ページ21
✿
「…はぁ…やってしまった」
盛大なため息は、大和桜部隊海軍執務室に響き渡る。ただでさえ書類にまみれて陰湿な雰囲気を放っている一室は、さらに重々しい雰囲気を増したような気さえした。
そんな中で、旭 夜 はひとり頭を悩ましながら、大量の書類と向き合っていた。
ふと、
「──どうしたんですか、夜さん」
耳障りのよい穏やかな声音が、すぐ隣から聞こえた。物思いにふけっていたため、いつの間にかコーヒー片手に立っていた気配に気づかず、驚きに顔を上げる。
「…デーニッツ提督」
見ると、1人の国防軍軍服を身にまとった、30〜40代半ばの男性が人の良さそうな笑みを浮かべながら立っており、夜にコーヒーを差し出した。
「ありがとうございます…」
「いえいえ。…弟さんとなにかあったんですか？」
「あはは…ご明察。流石ですね、提督」
差し出されたコーヒーを受け取り、礼を述べたあと、図星を突かれて困ったように笑う。
やはりこの人には適わない。
流石は大胆不敵の『
「…しかし時には兄弟喧嘩というものも必要だ。
言い合えるということは、良い事だと思いますよ。溜め込んでしまうよりかはね」
「ご
「非？ 君のような人が、またどのようなことを？」
「えぇ…つい息巻いて手を出してしまいまして」
「おや、それはそれは」
まさか普段生真面目な夜の口から"手が出てしまった"などという発言が出てくるとは思いもせず、デーニッツは驚きに目を丸くする。
珍しいこともあったものだ。
「それでは、いま弟さんは？」
「休養…もとい謹慎中です」
「じゃあ君のその書類の束は」
「…始末書、ですね」
士官学校時代の反省文を思い出します、と苦笑いすると、デーニッツも「私も昔に書かされたことがありましたよ」と数十年前の思い出に思いを巡らした。
このような優秀な人でさえそんな時代があったのか、と不思議に思いながらも身近に感じて夜は頬を緩ませる。
「…軍人になった後も始末書を何十枚と書かされたこともありましてね」
「おや。提督、貴方のような器量人にそんなことをさせた方がおられるので？」
「私よりも一回りも若い金髪秀麗な異才がね」
「あぁ─────成程」
それはまた結構なことだ。
きっとその彼は不敵な笑みを浮かべて書類の束を渡したのだろう、と想像し、夜は小さく笑った。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
