◇9.気に食わない�� ページ17
手に馴染みのある鋼の重み。
ゾムに投げ渡された愛刀を受け取ると、慣れた感覚にほんの少し心が落ち着きを取り戻す。やはり丸腰と武器を手に持っているのとでは、気持ちの持ちように違いがある。…だが。
("遊ぼ"…って、つまりそういう事だよな…)
ゾムが愛嬌たっぷりの満面の笑みで、恐ろしい程洗練された動きで腰に携えたナイフを構える。何一つ無駄のないその動きに、彼に対する自分の評価は間違っていなかったと確信し、冷や汗が頬を伝うのを感じた。
彼が言う"遊び"とは…けしてゲームなどの平和的ではないもの、というくらい察しがつく。
要するにAと1戦交えよう、という事だ。
彼にとっては、それすら"遊び"でしかないのだから恐ろしい。
Aは、紫檀色の瞳をゾムに向けたまま短く息を吐く。
「…どうかご再考を。
小官ではあなたの相手には分不相応でしょうに」
「分不相応なんて、
そういうんじゃなくて。単純にお前の事知りたいなぁ思ってん！」
キラキラとまわりに花でも舞いそうなほどの笑顔で、とんだ殺人予告。
"陸軍大将"と言っても、彼等幹部にとっては所詮一兵士。死のうが殺そうが──大した事じゃない。
…それを嫌という程自覚させられる。
もし彼の期待する実力が伴わなかったら…容赦なく殺される、ということで間違いないだろう。
「…それは…感興頂き、身に余る光栄です」
「あ、その遠回しの皮肉っぽい言い方、ひとらんっぽいわぁ。やっぱ大和人って皆そうなん？」
興味を滲ませた目で此方を見ながら、足音も立てずに1歩ずつ近づいてくる。
ひんやりとした空気が絡みつき、喉を乾燥させる。
じりじりと近づく脅威そのものに対して、刀を構え──但し抜刀はせずに後ずさりながら。脳をフル回転させる。
(確実に息の根をとめられる自信しかねぇ…)
引きつった苦笑いを貼り付けたまま、Aはどうにかこの状況を打破するすべを探す。…が、都合よくそんなものがある訳もなく。
「ほらほら、はよ抜けや」
「…っ」
(致し方ない────ええいままよ…！)
半ばやけくそに、刀の
刀身が
「っはは！そう来んと！」
響く金属音。
ギリギリと擦れる鉄同士が僅かに火花を散らし、けたたましい衝突音を奏でる。
だが──懇親の一撃は、ナイフ1本で受け流された。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
