◇7.気に食わない�� ページ15
✿
「…暇だ」
カチカチと柱時計が秒針を刻む音。
何事もなく緩やかに時間だけが過ぎていく感覚に、前線軍人であるAは暇を持て余していた。
どうにも自分は"何もしない"という時間が苦手らしく、大人しく寝る事くらいしか出来なかった。
──兄弟喧嘩などくだらない事で軍人の資本である身体を…ましてや刀を握る腕を痛めるなど、謹慎処分で済んだのが奇跡的なくらいである。
(…隊長に申し訳が立たない…)
骨折と言っても、全治3週間程度の軽いもので、今だって動かすことくらいは出来る。
試しにベッドから降りて、側に立て掛けている愛刀を握ってみると、すんなりと持ち上げられた。
軽く素振りをしてみようと鞘に収めたまま刀を構えると───
───カラン、という通気口の金網が外れる音。
そして。
「…────────っうﾞッ!?」
突然の鈍痛。
刀に伸し掛る異様なまでの衝撃に、腕の骨がみしみしと悲鳴をあげ、ついぞ耐えきれなくなりその場に倒れ込む。
「おっ…とぉ。しっかり支えろや」
刀の
…通気口から真っ直ぐに降りてきて、容赦なく全体重をショートブーツに乗せてAの握り手に着地した…という訳だ。
だが人の体重を骨折した腕が支えきれるはずもなく、地面に叩きつけられた。
「…っ、ぃ、痛…ッ」
「なんや、せめて避けると思ったんやけどなぁ。
はぁーおもんな。期待外れやわ」
「っ、…は…っ!?」
──誰だよ、頭沸いてんのか。と、掴みかかろうとしたが、その顔を見て硬直してしまった。
額には、痛みかはたまた驚きか、じんわりと汗が浮く。 サッと血の気が引いて…刹那、獲物を見定める獣のような鋭い眼光に目を奪われる。
ライトグリーンの双眸は、先程の視線とは一転して、実につまらなさそうな色にかわり、Aの顔をまじまじと見た。
「…お前が、旭 A やろ？」
「………」
驚きに固まったままこくりと頷くと、その様子が相手の気を良くさせたのか、口角が弧を描く。
「ちっす。初めまして、やな。
俺の顔は知っとるやろ？」
「…あぁ…そ…それは勿論」
見
その特徴的な格好といい、気配すら感じさせない完璧な身のこなしといい…。
…だがしかし。おかしな点が一つあるとすれば。
にこにこと愉しげに笑う青年。
──何故W国軍幹部の1人であるゾムが、名もしれぬ一兵卒の自室に身を置いて居るのだろうか。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
