◇4.気に食わない�� ページ12
ふと、ゾムを撫でる手を止めた直後、沈黙を保っていたインカムが、受信音を響かせる。
「…？」
「…あー、」
ゾムは何かを察したようで、ふぅ、と小さくため息をもらしたあと肩を竦めて呆れの表情を浮かべる。
そして聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で「何だかんだでアイツもひとらんのこと…」と呟いたが、その声はひとらんらんの耳には届かなかったようだ。
『…ひとらんらん応答を』
地に響くような落ち着いた低い声。
聞きなれたその声の主は──ああもう誰だか分かってしまった。
執務片手間にぶっきらぼうな声で短い言葉を紡ぐのは…
「……なんでしょうか、
「なんだその無愛想な言い方は
復讐鬼は随分ご機嫌斜めな様だな。」
「…休憩中なんだけど」
「ならちょうど良かったじゃないか」
「はぁ…で、なに？
書類関連の事なら、俺の専門外なんだけど？」
つっけんどんな言い方をしているが…通信の相手はかの名高き──総統グルッペン=フューラー その人だ。こういう態度が出来るのも、長い付き合いで培われた信頼関係からなるもので、W国の君主に対しとても普通じゃ考えられないほどの態度の悪さである。
「そうむくれるな。
一先ず執務室へ来い要件はそれから話す」
「うるせぇよ。────……今行く」
インカムの通信を切ると、傍らにいたゾムは苦笑を漏らす。
「人気者やんひとらん」
「…悪い意味でね」
ゲンナリとした顔でひとらんらんが軍帽を被り、着崩していた軍服のボタンをとめる。
…心底面倒そうな表情のままで。
「俺も一緒に行こうか？」
「……？ だいじょーぶだよ？」
マスク越しでゆるい笑顔を浮べるひとらんらんだが───まぁ少し…"心配"である。
(…ひとらんは知らんかもしれんけど…アイツは)
いや、グルッペンだけでないのだが…
このW国軍幹部はどうやらみんな同じ人物に心奪われてしまっているようで。
当の本人はそんな事に微塵も気づかない…その鈍感さが、ほっとするやら 返って心配やら。
「…アイツ、抜け駆けしたらぜってー許さんで…」
「え？なに？」
「…！ いや、なんでもない！」
取り敢えずはよ行き！と焦りに任せ、ひとらんらんの背を押すと疑問符を浮かべたまま、歩き出す。
その背を見送った後、ゾムは盛大に吐息を漏らすと天を仰いだ。
──鬱陶しいほどの青い…晴天。
「…あ、そや」
不意に"いい事"を思いついた緑パーカーは軽いフットワークで城壁に足を掛ける。
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はざくら(プロフ) - とても文が綺麗で大好きです！ (2019年10月13日 10時) (
レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 楽しみにしてます！！ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 周りに同志がいなかったのもで…ちょくちょくコメントします。本当に絵が好きすぎなので。 (2019年4月9日 20時) (レス) id: 0510066ef5 (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - 夜さん» 某サイトも見て下さり、ありがとうございます。絵の方は、かなり捏造多めですが、見て下さり嬉しいです！励みになります ！私も白最推しなので、同志が居て下さり心強いです:-)笑 (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
十五夜草(プロフ) - ルーカスさん» 読みやすいとのお言葉、嬉しいです…！はい、ご期待に添えるよう、精進して参ります :-) (2019年4月7日 14時) (レス) id: 82b1fa153c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜草 | 作成日時：2019年2月22日 12時
