I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

41 言えず仕舞い ページ41

「あの…」

「とにかく、一旦私の家で状況整理しよ！」



私も似た様なものを貰ったんだよね。と話す前に、流子さんが会話に割り込んできてしまったので、結局私の件は言えず仕舞いに…。
佐倉さんの背中を押して、自分の家へと連れて行く流子さんに圧倒され、何も言えずその場に置いていかれると、



「Aなんか言いかけた？」



来生だけは私の小さな異変に気付いてくれて、流子さん達を追いかけようとした私を一旦その場に引き留めた。
しかし、まだ同一人物だという確証もないし、これで下手に混乱させるぐらいなら言わない方がいいのではと、変に気を使って本当のことを言うのはやめた。



「…ううん。何でもないよ？」

「そう、なら良いんだけど」

「あ、ほら！流子さん達追いかけよ！」



そう上手いこと誤魔化して来生を手招きし、二人でエレベーターへと乗り込んだ。





ーーーーー




浬宅にて、改めて佐倉さんが貰った二枚の付箋をテーブルに置き、話し合いが始まった。
そして、そこには早上がりしていた浬の姿もあったが、会話の輪には交わらず、台所で二つのマグカップにコーヒーを注ぎ入れていた。
一つは自分のでもう一つのは流子さんの分かな？と思いきや、私からは何も言っていないのに、浬からコーヒーが注がれたマグカップを渡された。



「ありがとう…」

「別に、ついでだ」



そう、ぶっきらぼうに言いつつも、これも浬の優しさだなと思って前に置かれたコーヒーを一口飲んだ。

42 偽恋人→←40 付箋の送り主

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す