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【番外編】怒りの矛先 ページ30

ー…暑い暑い夏の日。

外からはセミがジリジリと鳴いていて、目の前では大人達の言い争いが始まっていた。


「お婆ちゃんの残した財産は俺達にも貰う権利はあるだろ?」

「まだ弁護士さんが遺言書を持ってきてないんだからわからないって何回言わせるんだ」


姫路のお婆ちゃん家の居間にて、お父さんと叔父さんの口調が荒く、その横にはお母さんと叔父さんの奥さんが心配そうな面持ちで座っていた。









お婆ちゃんが亡くなった。




その一報は姫路に住んでいる叔父さん達から届いた。
慌ててお婆ちゃんの家に来ると、みんなお婆ちゃんが居なくなってしまった哀しみよりも、お婆ちゃんが残した財産の話ばっかり。
常に面倒を見ていたのは自分だから、自分に多く残してあるのは当たり前だと言う叔父さんと、長男である自分に多く残してる筈だと言い張るお父さん。
その平行線に私は黙って聞いているしかなかった。







どうして皆んなお婆ちゃんが居なくなった事を悲しまないの?







「…お母さん、目の前の公園で遊んできてもいい?」


ただ、一刻も早くこの場から離れたかった。


「いいけど、長居しちゃダメよ」

「わかった…」


いつもなら私がやる事なす事に制限をかけてくるお母さんだが、今回はすんなりと許可が降りた。
溢れ出しそうな気持ちを抑えて、物分かりの良い子を演じたまま家を出た。
この時、自分でも気づかないくらい憤りを感じてたんだと思う。





だから、あの時、




目の前で起きていた虐めにもイライラしていたんだ。





気づいたら、主犯格の男の子の頬を思いっ切り叩いていた。
人なんて叩いた事もないから、掌がジンジンして自分にも痛みが走った。


「ボールも買えない貧乏人が調子のんな!」


女の子としてそれどうなの?って思う程の暴言を彼らに吐き捨てた。






…ああ、これは完全に八つ当たりだ。






子供が大人に口出しできない苛立ちを、私は彼らにぶつける事によってスッキリした。
最低なストレス発散方法だなと思って、自分自身を嘲笑った。


「あんた、男の子相手に強いのねー」


その声に反応して振り返ると、そこにはお婆ちゃんと、




私と同じ歳くらいの男の子が立っていた…。







【怒りの矛先】




ーーー

姫路に来た本当の理由

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設定タグ:ヒカル , カルピン , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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揶揄 - 最近見始めました!すごく面白いです! (2019年9月22日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
虎苦迷花さん推しのぴかちゅう - まぢすこ…(( (2019年9月21日 20時) (レス) id: d00440de79 (このIDを非表示/違反報告)
金亀子?(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです、!!! (2019年9月7日 23時) (レス) id: a3d0a4cc33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月香葉 | 作成日時:2019年7月30日 22時

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