九井さん、今日はどうしましたか？ 5

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こうしてココくんに、たった1つの秘密ができた。



勘のいい彼のことだから、
私が梵天のことを知っていることも
すぐにバレてしまうんじゃないかと心配していたが、



何とか秘密のままで、
私と彼のお付き合いは2年を迎え、
金木犀が薫る季節が訪れた。






私は変わらず医務室で勤務していたが、
私の周りは少しずつ変わっていた。



まず1つ目は、
仲良くしてくれていた、あの美人な同僚の寿退社。
おまけに妊娠しているとのことで、寂しさと驚きが入り混じりつつ、
イタリアンでお祝いしたのはもう随分前のことだ。


もちろんお相手は、あの時にお会いした、とても優しそうな男性。


最近第一子を無事に出産したとのことで、
近々お祝いを持って行こうと思っている。



2つ目。
西野さんの栄転。
系列のホテルのファイナンシャルコントローラーという役職についている。
数年経験を重ねたら、アシスタントマネージャーになるのではと噂されている。



物腰柔らかで、気遣いもでき、仕事も有能という彼は、もちろんモテないはずはない。
しかし何故か彼は独身のまま、浮いた噂もなかった。



3つ目。
マイキーさんが医務室に来なくなった。


これに関しては、ここ3か月のことで、
元々そんなにしょっちゅう来ていたわけではないので、
私の勘違いかもしれない。
その内、ひょっこり現れるかも。


ほぼ会話のなかった私たちだったが、


最近は、マイキーさんから、
Aはさ、行ってみたいところとかある？海外とか好き？と聞かれて、


海外なら、シンガポールのマリーナベイサンズに
死ぬまでに一度でいいから泊まってみたいですかね…、マイキーさんは？


なんて、ほんの少しだけ雑談もするようになっていたので、ちょっと寂しい。








そして、今日は出産祝いを渡しに、
元同僚の元へ。



赤ちゃんは最高に可愛くて、
話を聞くと本当に大変そうだったけど、
彼女はずっと笑顔で幸せそうだ。



ただ、
Aはどうなの？あの美人系イケメンと付き合ってるんでしょ？早く結婚してしっかり捕まえときなよー。
と、言われた時、
チクリと胸が痛んだ。



どうなんだろうねー、なんて笑っていると、
旦那さんが帰ってきたので、そのタイミングでお暇した。

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