とびきりの美人へ ページ21
案内された部屋はココくんの予想通りスイートルーム。
じゃあ送り届けたから帰るわ、
なんて言った彼を必死に引き止める。
『ままま、待って!
こんな所に1人にしないでー!
心細いから、春千夜来るまで一緒にいてー!!』
九 「……は?
三途が言ってた警戒心バグってるって、この事か……。」
逃げられないようにココくんの服の裾をがっちり掴めば、
彼は大きな溜息をついて、
とりあえず中に入るぞ、と言ってくれた。
部屋に入ると、眩暈がしそうなほど豪華な部屋。
ゆったりにも程があるだろっていう広さ。
インテリアもオシャレすぎて落ち着かない。
汚したらと思うと恐ろしくて、
これ以上踏み込むのが憚れるレベル。
そんなこんなで私が部屋に圧倒されている間に、
ココくんは逃げたらしい。
振り返ると誰もいなくて、案内のスタッフさんを見ると、
にこりと笑われた。
いや、にこっ、じゃないのよ。
……あの詐欺師、次会ったら慰謝料請求だ!
「お飲み物のご希望を伺ってもよろしいでしょうか。
アルコールでも、ノンアルコールでも、
お好きな物を仰っていただければ、ご準備いたします。」
『じゃ、じゃあ、すみません、
ほうじ茶をお願いしてもいいですか……?』
「かしこまりました。」
椅子の端っこに座って固まること数分。
ほうじ茶と何やら重箱が運ばれてきた。
え?!頼んでないよ?怖!
「お待たせ致しました。
ほうじ茶でございます。
それとこちらは九井様からでございます。」
『へ?』
ココくん、から?
重箱の蓋を丁寧に開けると、
そこには色とりどりの美しい和菓子がぎっしり。
練り切り、羊羹、最中。
全て一口サイズでとても可愛らしい。
『うわぁ……、可愛い……。』
「とびきりの美人とドライブデートさせてもらったお礼、
だそうですよ。」
あの詐欺師……、
やっぱりいい人かも。
とりあえず慰謝料請求は取り消そう。
もー、どれから食べるか迷っちゃう!
スタッフさんは、
何か御座いましたら遠慮なくお申し付けください、
と言って部屋を出て行った。
1人になった部屋で、
ほうじ茶を啜りつつ、可愛らしい練り切りを一口。
上品な甘さが口の中に広がる。
圧巻の夜景。
部屋は豪華絢爛なスイートルーム。
そして美味しい和菓子。
贅沢の限りを尽くしたような状況だ。
それなのに私ときたら、
『……春千夜、早く来ないかな……。』
そればかり考えていた。
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きりん(プロフ) - ちいさん» 作者もそう思いつつ、書いてます( ; ; ) (2023年1月24日 6時) (レス) @page49 id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 早く助けてあげて〜(>_<) (2023年1月24日 2時) (レス) @page48 id: dc2461d50b (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 継澪♪_ほぼ無浮上_さん» 春千夜が彼氏だと、色々インパクト強すぎて、いない時、考えちゃうかなーと思い、あんな感じになりました(笑)可愛いって、言ってもらえて嬉しいです!!( ; ; ) (2023年1月21日 21時) (レス) id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
継澪♪_ほぼ無浮上_(プロフ) - ずっと春ちゃんのこと考えてる夢主ちゃん可愛い!早くあえるようになれー! (2023年1月21日 18時) (レス) @page40 id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - ちいさん» そう言っていただけるなんて、本当に光栄です!!恋人編にはもう少しココくん出す予定なので、楽しみにしていて下さると嬉しいです(*゚▽゚*) (2023年1月18日 4時) (レス) id: ee22706dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん | 作成日時:2023年1月13日 9時