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獪岳くんはとにかく《勝利》に固執した。
勝って他人に認められることを生き目としていた。
だって毎回言うんだ。
獪岳くんが作ったただの死体に。

「俺のほうが強い」

って。
目を離したらどうなってしまうのかが怖かった。
だから私は、ワカメさんに頼まれた時以外でも、獪岳くんの近くにいた。
最初こそ離れろとかウザいとか言われたけど、今となってはちょこちょこ話しかけてくれるようにまでなった。

「A」
「ん?」
「あんま血流すなよ」

私の血鬼術は、血から意のままに操れる分身を生み出す。
分身は血を多く費やすほど強くなる。
つまりたくさん血を流さないといけないのだ。
もちろん分身に頼りきりなわけではないが、私が上弦まで上り詰めたのもこの血鬼術によるところが大きい。
だから血を流すなというのは無理な話になるのだが、戦いの前に必ずこう言ってくれるのは嬉しいとも思った。

「心配してくれてありがとう。私は大丈夫だよ」
「うっせえな、黙って従っとけ。あと心配じゃねえから」
「ほんと? ほんとに??」
「その顔やめろブチ殺すぞ」
「怖」

獪岳くんはきっと『つんでれ』ってやつなんだと思った。
もしかしたら私といっしょに喋ってて、他人への思いやりを知れたのかなって。
でも素直に優しくなれないだけなのかなって。
その不器用な優しさを、私に向けてくれているのが嬉しかった。

「さてと。今日も行きますか。たくさん勝とうね、もっと強くなるために」
「なら駄弁ってんな。とっとと行くぞ」
「はーい」

刀を背負う彼を追いかける。
今日はどれくらい強くなれるかな。
楽しみだ。

「獪岳くんは強さカンストしてるけどね」
「『かんすと』? なんの話だ」
「なんでもなーい」

横を通り抜けて彼の前に行く。
そこの角曲がったら、鬼狩りがいっぱいいるんだ。

「たくさんいるよ、どっちが多く殺せるか勝負しよう」
「いいぜ。毎度の如く勝つのは俺だからな」
「今日こそ勝つ!」
「おう、まあせいぜい頑張れよ」

彼は背にあった刀を抜いた。

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作者名:かえで | 作成日時:2021年4月4日 16時

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