お勉強 ページ11
ASide
今日はここ最近にしては珍しく、体の調子がいい。
しかも、今日は日曜日。これはもう、どこかに遊びに行くしかない。
…と思ったのに、私の目の前には、広げられたノートと問題集、そして隣にはシゲにぃがいる。
「ねぇー、もう止めてどっか行こうよー。
シゲにぃだって貴重なお休みでしょ？」
「その貴重なお休みを割いてるんだから、集中しな。
先生達がせっかく出してくれたんだから。」
学校にあまり行けていない私には、こうして特別課題を出されることがよくある。
授業に出る代わりにこれを出せば、出席したことにしてもらえるのはありがたいんだけど、勉強が大嫌いな私には苦痛でしかない。
「いっつもムリするなって言うくせに。」
「ムリになるほどさせてない。ほら、次の問題。」
ひーひーしてる私の側でのんきに、慶にぃは掃除をし、貴にぃは雑誌を読み、祐にぃに至っては時々声を上げながらゲームをしている。
「学校好きなのに、なんで勉強はそこまで嫌いなんだよ。」
「それとこれとは別。学校は勉強をしに行くところじゃないって言うじゃん。」
「それを言うなら、勉強「だけ」をしにいくところじゃない、な。
学校の意義、崩壊してくるぞ。」
シゲにぃはすぐに揚げ足を取る。
「やるなら数学じゃなくて体育がいいー！」
「お、それじゃサッカーしちゃう？」
「やるやる！！」
ゲームを中断し顔を上げた祐にぃの提案に飛び乗る。
「やるやる！！じゃない。
これ終わるまで、外出もテレビもスマホも禁止！！」
「シゲにぃのケチ、バカ、運動音痴。」
「嫌なら、集中して早く終わらせろ。」
「だいたい、こんなのできなくても人生で困らなくない？
貴にぃ、困ることないでしょ？」
「真っ先に俺に聞く？俺にも分かるかも、とは考えないの？」
貴にぃが心外そうに言った。
「じゃあ分かるの？」
「分かる訳ないじゃん。ついでに困ることもない。」
「なんで心外そうな顔をしたんだよ！
あと、Aのやる気を削ぐな！」
「もともと削げるやる気なんてないけどね。
……痛い痛い痛い！！」
シゲにぃにツボを押され、激痛が走った肩をさする。
「俺、その手の話でいつも疑問に思ってたんだけどさ…」
掃除をしながら、慶にぃが口を挟む。
「今現在、分からないことで困ってるじゃん。」
「………」
これには全員黙るしかなかった。
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作者名：かもみーる | 作成日時：2020年1月24日 21時
