第138話 不機嫌の正体は何処に ページ47
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「おお、もうこんな時間か。今日はここまでとしよう、次の特訓の日まで体を休めておくように」
「校長、私はまだッ、」
校長の言葉に喰らいつくも、隣にいたセブルス君に腕を掴まれて止められた。いつの間にこんなに力が付いたのか、腕一本だけでもう動けない。
こちらを押さえ込むような強く真っ直ぐな黒い目にぐっと押し留まる。…わかったよ、私の負けだよ。
「A、帰るぞ。…校長、ありがとうございました」
「…ありがとうございました。おやすみなさい」
「おやすみ。よい夢を」
時間は既に１０時を過ぎており、校長室からの帰路はこっそりルーモスを使って足元を照らした。
いつもより足早になる自分が尚更自分の情けなさを際立たせている。といってもセブルス君は私のスピードに平然と着いて来ているのだが。これが体格の差である。入学したての頃は同じくらいだった背丈は、今では頭一つ分彼の方が高い。Aは男女差ゆえの微妙な悔しさから少し冷静さを取り戻した。
地下への階段に差し掛かったところで、彼は私の背中をそっと優しく撫ぜた。その感触に一瞬肩が跳ねてから、背中のぬくもりの正体を察して思わず立ち止まる。触れられたところから熱が広がり、先ほどとは種類が違う緊張が私の中に走った。
立ち止まったままの私をそのままに、彼は一歩前に出てこちらを振り返り、私と向き合った。
「……明日は、図書室で過ごさないか」
「…………気を遣わせたならごめん、けど私は」
「閉心術の練習か？一人だけならイメージトレーニングくらいしかできないだろう。それならゆっくり体を休めた方が良い」
図星を突かれてついおし黙る。彼には厄介なことに何でもかんでも御見通しなのだ。
「………わかったよ、明日は大人しくしてるよ」
「ああ。一昨日新しく蔵書が増えたそうだ。ピンスに聞けばごっそり借りれるだろう」
「えっ、本当に！？ ならリリーも誘おうか！」
きっと勤勉なリリーなら喜ぶはず。そう思っての発言だったが、なぜかセブルス君は眉間に皺を寄せていた。
「……え？どうかした？」
「…………いや、なんでもない。そうだな、リリーも誘ってみよう」
「本当に何もない？ 私、何か変なこと言ったかな」
「なんでもないんだ、本当に」
いくら聞いても何でもない、の一言しか返ってこないので少し勘繰りつつも会話を終わらせた。
セブルス君、一瞬だけ機嫌が急降下したような気がしたんだけど、気の所為かな。
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しう - ネームが、バグってしまってるんですけど… (2022年10月22日 9時) (
レス) @page1 id: f32468df16 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 劉嘩さん» ありがとうございます！自分では面白いのか？と手探りで書いているのでそう言って頂けると嬉しいです。 (2019年7月31日 0時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
劉嘩 - 一気読みしちゃいました。面白かったです!!これからも無理をしない程度に頑張ってください!!応援してます!! (2019年7月29日 17時) (レス) id: 8c95e35653 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！最近更新停滞気味で申し訳ありません…これからも宜しくお願いします。 (2019年6月23日 18時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ(プロフ) - 今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました…！！これからも頑張ってください！！ (2019年6月16日 19時) (レス) id: 56c93dfa56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年12月5日 2時
