第137話 もっと冷たいモノなのだ ページ46
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セブルス君が落とした一言「僕にだって守りたいと思う対象はいる」から察するに、彼もまた守りたいもののために力が欲しかったらしい。
力を欲した先が、以前は闇側だったことを考えれば今回はマシだと思えるが、マシというだけで何も校長が最良とは言えない。あの校長がタダで物を教えるとは思えない。あのタヌキの事だ、おそらくセブルス君もチェスの駒の一つに加える心算なんだろう。
そうはさせるか。守りたい対象に自ら危険に飛び込まれては、守れるものも守れないではないか。
と思っていたのに、セブルス君はある日突然大きな爆弾を落とした。
自分も駒の一つに加えろと言うのだ。
リリーもセブルス君も危険に晒したくない一心だった。
セブルス君に内緒にしていたのは、例えば他生徒や肖像画、ゴーストなど、どこで何が聞いているか分からない、ホグワーツだから情報漏洩の恐れがあると思ったから、という事もあるが、一番の理由は彼が何もせず大人しくしていてくれる訳がないと分かっていたからだ。まあ結局案の定としか言いようがない現状となっているのだが。
彼はまるで憑き物が落ちたようだった。何に悩んでいて何に吹っ切れたのかは未だに定かでは無いが、彼が良いなら今更掘り返すこともない。
＿＿なんて雑念で気を落ち着かせること数秒、目を開ければ目の前には長いローブを見に纏う校長の姿があって、すぐ近くでは呪文の練習中の筈のセブルス君がこちらを心配げに覗いていた。
また、失敗した。
行き場のない焦燥を押さえ込むように、座っているアンティーク風の椅子の腕掛けに置いてある拳を握り締める。
校長は私を気遣うような声色で声をかけた。練習を止めたセブルス君がこちらに歩いてくるのが校長の背中越しに見える。
「Aよ、閉心術は大人の魔法使いですら使える者と使えぬ者がいる高尚な魔法じゃ。焦りを持ちながら習得できるほど易しくはない」
「はい」
「心を閉ざすのじゃ、A。何者にも心を許してはならぬ」
「はい、校長」
「…………あまり気を落とすでない、あと一歩のところまで来ておる。あとはAがいかに相手を拒絶できるかじゃ」
…拒絶？そんな簡単な言葉で説明がつくならとっくに私はこの術の完成に至っているだろう。拒絶なんてものではない、もっと、もっと陰鬱でそれでいて力強くて…今の私に欠けているものが必要なのだ。
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第138話 不機嫌の正体は何処に→←第136話 決断したら即行動
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しう - ネームが、バグってしまってるんですけど… (2022年10月22日 9時) (
レス) @page1 id: f32468df16 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 劉嘩さん» ありがとうございます！自分では面白いのか？と手探りで書いているのでそう言って頂けると嬉しいです。 (2019年7月31日 0時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
劉嘩 - 一気読みしちゃいました。面白かったです!!これからも無理をしない程度に頑張ってください!!応援してます!! (2019年7月29日 17時) (レス) id: 8c95e35653 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！最近更新停滞気味で申し訳ありません…これからも宜しくお願いします。 (2019年6月23日 18時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ(プロフ) - 今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました…！！これからも頑張ってください！！ (2019年6月16日 19時) (レス) id: 56c93dfa56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年12月5日 2時
