第128話 打開策を欲す ページ37
．
「＿＿成る程…道理で君はそんなにも成熟した精神をしておるのじゃな」
「前世からの年齢は考えたくありませんね」
「しかし前世を足しても儂よりは年下じゃのう」
「…何故張り合おうとしたんですか。貴方に敵うはずないでしょう」
校長室では和気藹々とした雰囲気がその場を流れていた。校長がわざと冗談ぶった話し方をするのでそれに乗っかった形で始まった会話の形式だが、少々楽しくなってきた。
「実家のことは仕方がないとしか言えませんが、運がなかったとは思います。子供は生まれを選べません、冷血なA家の一人娘の中身がこんなおばさんなんて誰も思わないでしょうね」
「……じゃが死喰い人とは穏やかではないのう。どうするつもりかね？」
声の調子は変わらず表情だけを固くした校長は話を真髄に移らせた。
「困っています……ですから、今日はその相談に来ました」
「ああ、そういえばそんな話じゃったのう」
「相談の前に私のことを話しておくべきだと思ったのですが、思いの外長くなってしまいました」
そう、私は相談があるのだと言って校長に会いにきたのだ。その軸を忘れてもらっては困る。
＿＿話をした。
自分の一度目の人生、鏡や夢のこと、そして、今の自分の現状を。
校長は私が全てを話し終えるまで一度も口を開かなかったが、下手に相槌を打たれて話の腰を折られるよりマシだった。それに、目の前の相手から感じられる“受け入れ”の姿勢があったから、相槌が無いことなんて特に気にならなかった。
鏡と今の自分の現状の話はついでのつもりだったが、校長はこれらの話にかなりの食い付きを見せた。こんな話で釣れるとは思わなかったが、死喰い人というフレーズを用いたことが良かったのかもしれない。
今の現状、つまりほぼ約束されたも同然の私の将来。
このまま闇に飲み込まれたくない。だが今のように力を持たないままでは、何の抵抗もせずに両親の言いなりにならざるを得ない。うかうかしていてもし闇の帝王の元に引き摺り出されればあの人はすぐに私の本質に気付き私を消すに違いない。と、こんな風に、私はありのままを話した。
．
第129話 カメレオンのようなもの→←第127話 腹の中はお見通し
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 620人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しう - ネームが、バグってしまってるんですけど… (2022年10月22日 9時) (
レス) @page1 id: f32468df16 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 劉嘩さん» ありがとうございます！自分では面白いのか？と手探りで書いているのでそう言って頂けると嬉しいです。 (2019年7月31日 0時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
劉嘩 - 一気読みしちゃいました。面白かったです!!これからも無理をしない程度に頑張ってください!!応援してます!! (2019年7月29日 17時) (レス) id: 8c95e35653 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！最近更新停滞気味で申し訳ありません…これからも宜しくお願いします。 (2019年6月23日 18時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ(プロフ) - 今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました…！！これからも頑張ってください！！ (2019年6月16日 19時) (レス) id: 56c93dfa56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亜京目 | 作成日時：2018年12月5日 2時
