第127話 腹の中はお見通し ページ36
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カップをそっと顔の前に持ってきて香りを嗅ぐ。
ふむ、普通のアッサムか。この人のことだから何か混入していてもおかしくはないと思ったが。…ああ、今は相手が只の一生徒だからか。…なんて、私は少々この人に軽い偏見を持っているのかもしれない。此れからこの人をちゃんと校長として見なければ。
「なんなら確かめていただいても構いません。確か相手の思考を覗くような術があったような気がしますが、どうでしょうか」
まるであの自我のある帽子の様な事ができる術。とても便利で疑心的で、そして、私が酷く怯えるもの。両親の話では例のあの人もこの術が得意なんだっけ、やだなあ。
なんの感情も見せず、淡々と言葉を紡ぐ目の前の生徒にこの人は何を思っただろう。
さて、第一印象はバッチリかな？
−−−−
「＿＿あれの受け手はどういった感覚なのでしょうね。一度体験したいと思っていたところなのですが、丁度良いかもしれません」
目の前の女生徒は紅茶を少し香った後、カップの淵に口をつけてゆっくりと傾けた。
久しぶりにこんなに冷たくなった背中には見ないふりをして、彼女に真意を探った。
彼女が言った術は「開心術」と呼ばれるものだろう。
呪文をかけられた者の閉心術の能力が十分でなければ、自分の心に相手が侵入してくるのを感じてしまう。そして、知られたくない記憶が心に浮かび上がってしまう。
閉心術もままならない状態である彼女が術をかけられたらそうなってしまう事を知っていて、彼女は口に出したのだろう。なんて末恐ろしい魔女だ。座って紅茶を飲んでいるだけなのに感じるプレッシャーは、決してティーンの女の子が出し得るレベルではない。彼女の言う実家のことや前世のことが関係しているのだろうか。
そこまで考えてから、自分がAの突飛な話を既に信じ始めていることに気がついた。情けない、だが無理もないことだと言い訳させてほしい。
「儂は生徒に対してむやみに呪文を掛ける気はないでの。君の話を聞こうと思う、おそらく君は嘘を言ってはおらん」
「…そうですか、残念です」
ちっとも残念だと思っていない目でそう答えるAは、わざとその目を隠していない様に見えた。
彼女はきっと閉心術が現時点でも僅かに使えている。無意識のうちにだ。才能もきっとある。
心を閉ざさなければならない、そんな環境で生きていたのだという証拠を眼前に突きつけられて、既に凍ったと思っていた心が僅かに痛んだ。
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しう - ネームが、バグってしまってるんですけど… (2022年10月22日 9時) (
レス) @page1 id: f32468df16 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 劉嘩さん» ありがとうございます！自分では面白いのか？と手探りで書いているのでそう言って頂けると嬉しいです。 (2019年7月31日 0時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
劉嘩 - 一気読みしちゃいました。面白かったです!!これからも無理をしない程度に頑張ってください!!応援してます!! (2019年7月29日 17時) (レス) id: 8c95e35653 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！最近更新停滞気味で申し訳ありません…これからも宜しくお願いします。 (2019年6月23日 18時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ(プロフ) - 今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました…！！これからも頑張ってください！！ (2019年6月16日 19時) (レス) id: 56c93dfa56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年12月5日 2時
