第126話 校長室の内緒話 ページ35
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勧められるまま座り心地の良い椅子に座る。校長は自室の少し奥に歩いて行って、物が散乱したテーブルに杖を振った。
ふよふよと浮かびながらあるべき配置へ戻ってゆく書物や用途も知れぬ何らかの機械、そして古そうな骨董品などを眺めていれば、校長は引き寄せの術を無言魔法で使った。
それはいくつかの紅茶の茶葉が入った缶だった。いつのまにか浮いていたポットはお茶の準備に忙しくしている。
「紅茶はなにが好きかね？」
「お任せします」
「………ああ、丁度美味しいチョコレートを貰ったんじゃが」
暫しの間の後に、またも杖を一振り。棚の引き出しが開いて四角い箱が顔を出した。
その様子をさも無関心そうな顔を作りながらじっと眺めていた。
実際のところ、興味津々なのだ。無言呪文はやはり使えたほうがいい代物だろう。呪文を唱えて術が発動するまでのタイムラグが省略できるし、何より戦闘時において相手に自分の手を読ませないのが良い。
その辺りで思考を一旦停止させ、口元に僅かな笑みを添えて校長への返答をした。
「どうぞお構いなく。チョコレートのお誘いは魅力的ですが、そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか」
「随分とせっかちじゃのう。そろそろと言ってもついさっき座ったばかりじゃろうて」
校長はやれやれとでも言うかのような、やけに老人ぶった態度で自分も向かいの椅子に腰掛けた。宙に浮いたポットは既に２つのカップへ紅茶を注ぎ、やがてカップが満ちたところでカチャリとも動かなくなった。
「間怠っこしいのは好みませんので。……貴方は私のことをどれくらい知っているのでしょう。まずそこをはっきりとさせないと話になりませんので」
「はて、儂が君について何か知っていると言うのかね？」
校長は紅茶を一口飲むと、首を傾げながらそう答えた。勿論想定内だ。はぐらかされる事くらい目に見えていた。実のところ、私はこの人が何をどれだけ知っているのかなんてちっとも把握していない。
「ええ、そうです。さて、鏡のことですか？ 実家のことは？ ああそれとも＿＿＿前の生のことでしょうか」
ならば何故カマをかけるようなことを言っているのか…それは、全てをこの人に話すつもりだからだ。
校長は、鏡についても君が実家と他人の様に呼ぶ家の話も気になるがと前置きした。
「…前の生とは、君には前世の記憶があると言うのかね？」
「ええ、そうです」
そう言って、静かに微笑みを浮かべた。
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しう - ネームが、バグってしまってるんですけど… (2022年10月22日 9時) (
レス) @page1 id: f32468df16 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 劉嘩さん» ありがとうございます！自分では面白いのか？と手探りで書いているのでそう言って頂けると嬉しいです。 (2019年7月31日 0時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
劉嘩 - 一気読みしちゃいました。面白かったです!!これからも無理をしない程度に頑張ってください!!応援してます!! (2019年7月29日 17時) (レス) id: 8c95e35653 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！最近更新停滞気味で申し訳ありません…これからも宜しくお願いします。 (2019年6月23日 18時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ(プロフ) - 今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました…！！これからも頑張ってください！！ (2019年6月16日 19時) (レス) id: 56c93dfa56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年12月5日 2時
