第92話 もう一つの黒 ページ47
．
勘の良いルーピンは、私の気まずい思いを察知した様で、咎める様に問いかけた。
「ちょっとA、また人の名前覚えてないんじゃないだろうね？」
「あー……確か最初に“Re”が付く筈だよね」
「レギュラスだよ！後輩の名前くらい覚えなよ！」
「ほら、こう接点がないと…どうもね？」
「僕の方がよっぽど接点なんかないよ…」
そう言って彼は脱力した。
＿＿＿＿レギュラス・ブラック。
「間違いなく純血の血筋」とされる「聖28一族」に数えられるブラック家の次男坊でありながら次期当主の座が約束されているお坊ちゃん。兄であるシリウス・ブラックと顔立ちは瓜二つであるのに性格はちっとも似ていない。
…いやむしろ兄貴の方がブラック家の中で異質だったんだろう。
THEお坊ちゃんというような傲慢さは控えめだが、見る限り純血への強い拘りを持っているように感じた。
入学後は成績優秀、運動神経抜群、おまけに容姿端麗とくるのだから世の中の不平等さの権化のような子だ。…あっそれはポッター達もだな。本当にこの世は平等じゃない。
…うん、完全に思い出した。
でも忘れていたのは仕方ないんじゃないかな。
だってあの子と最後に会話したのあの子の入学式の翌日だし。ちょっとお貴族様特有のご挨拶されただけだし。それも完璧すぎて辟易の余りあんまり聞いてなかったし。
その挨拶もまるで教科書をそのまま音読したような中身の無いものだった。それなのに棒読みではなかったのだから彼の演技力に内心拍手を送ったものだ。
きっと親から先輩の私に媚びておけと言われたのだろう。私がホグワーツでそれなりにブイブイ言わせてる(不本意)のを聞きつけて、息子を宜しくというわけだ。
私の身内贔屓は今に始まった事ではないが、別段彼と親しくしたいとは思わなかったのでブラック家の大人たちの汚い思惑には乗ってやらなかった。
ザマアミロ、なんでもかんでも利用しようとするからだ。上手いこと私を取り込んでゆくゆくはA家を配下に置こうって魂胆は見えてんだよ。
私の方が格下なのに、彼自らが挨拶に来たのはそういう訳だろう。少年も自分の意思でない行動を取らされているその身は同情対象と言えるが、それにホイホイ同情してやるほど私はお人好しではない。
もっとも、少年は自分より下の者に下手に出るのが嫌なわけで、親のいいなりになることや、純血主義を嫌がっているようではないから尚更関わろうという気にもならなかった。
．
第93話 ネクタイが切れる時→←第91話 仮面の価値も見出せず
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜京目(プロフ) - 有難うございます！ストレートな褒め言葉に顔のニヤケが収まりません…これからもよろしくお願いします。 (2018年12月4日 20時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんにちは、初コメ失礼致します。物語の設定とか描写の仕方がドストライク過ぎてとても好きです(^^) これからも更新楽しみにしてます。体調など崩されぬようご自愛くださいませ。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 雨さん» コメント有難うございます。最近の話の流れが難しく、四苦八苦しながら更新している状態です。ですが必ずまとめてみせます。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年9月22日 16時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 頑張ってください！更新楽しみにしてます！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - fairy taleさん» 暖かいお言葉をありがとうございます。自分の好きなように書いている物を読んで頂いていること、誠に感謝しております。これからもどうぞご愛読の方よろしくお願い致します。 (2018年8月29日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亜京目 | 作成日時：2018年8月17日 22時
