第67話 結局そこに辿りつくのね ページ21
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__右に2周、左に4周。手早く搔き混ぜる。
大鍋に気泡ができたら刻んだカノコソウの根を入れて温度を250度に上げる。
私の机の横には誰もいない。他はみんなペアを組んでいたが、もともと偶数だった生徒に1人欠員が出たのだから必然的に1人余る。私は進んで1人を希望した。
ここまですれば、あとはそのまま火にかけ、青く変色してから火を止めるだけだ。
由々しき事に、セブルス君は昨日の晩から風邪をひいてしまっている。今は医務室のマダムポンフリーによってベッドに縫い付けられている事だろう。
だからいつも野菜を食えとあれほど言ったのに…
これからは無理矢理にでもサラダを皿に入れてやろうと固く決意した。
学校が始まった今、授業やら何やらに時間を取られて満足に読書ができていなかった。
今学期が終わってイースター休暇が過ぎた後には、学年末テストがある。
それに従って、教師のだれもが授業に力を入れるようになった。課題は増え、授業は細かくスピーディーになった。これでも試験前よりは幾分かマシだというマルフォイ先輩の言葉に、ドッと倦怠感が募る一方である。
どこの世界も学生というものは、テストに付き纏われるものだ。前回の学生時代はもっと平凡だったが、少し懐かしい。
嗚呼、本が読みたい。
古紙の香りを感じたい。脳と目をこれでもかと酷使したい。回りくどい言葉の波に溺れたい。
ブックワーム。本の中毒者。
上等である。
せっかくセブルス君に素敵な栞を貰ったというのに、ホグワーツに戻ってから、殆どを課題の資料に使う紙の目印にするばかりで、全く本に挿んでいない。
若者に有るまじき娯楽が少な過ぎる日々。
溜まるばかりのフラストレーションをどう解消しろというのだ。
ひと言に纏めると、疲労困憊。私は疲れている。
教室と図書室と自室を行ったり来たりする単調な生活。
苛立つことに、彼ら悪戯仕掛け人は持ち前の頭脳のおかげで課題に追われる事には無縁のようだった。こちらの都合もお構いなしに所構わず悪戯、さらにヒートアップすれば魔法の応酬にまで昇る。
最近やたらと悪戯の腕を上げたようで、こちらが劣勢気味なのにも腹がたつ。彼ら、特にポッターとブラックが座学も呪文も好成績と聞くのがまた嫌味だ。
腰巾着らは特に知らん。現在目立った実害がないので放置している。顔も朧げだ。
セブルス君も睡眠不足により免疫力が低下したのだろう。
きっとそうだ。…おのれ悪戯仕掛け人。
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亜京目(プロフ) - 有難うございます!ストレートな褒め言葉に顔のニヤケが収まりません…これからもよろしくお願いします。 (2018年12月4日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんにちは、初コメ失礼致します。物語の設定とか描写の仕方がドストライク過ぎてとても好きです(^^) これからも更新楽しみにしてます。体調など崩されぬようご自愛くださいませ。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 雨さん» コメント有難うございます。最近の話の流れが難しく、四苦八苦しながら更新している状態です。ですが必ずまとめてみせます。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年9月22日 16時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます! (2018年9月17日 21時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - fairy taleさん» 暖かいお言葉をありがとうございます。自分の好きなように書いている物を読んで頂いていること、誠に感謝しております。これからもどうぞご愛読の方よろしくお願い致します。 (2018年8月29日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜京目 | 作成日時:2018年8月17日 22時