第57話 甘いと思うか今年の冬よ ページ11
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バルコニーに出て夜風に当たれば、だんだんと苛立つ思考が冷めてきた。少々肌寒い気がして上着を羽織る。考えてみれば、今は12月の末だった。雪が当たり前に毎日降り積もる時期なのだ。寒いのも当然である。
−−−−
賑やかな声が小さくなり、そろそろパーティーも終わったかという時に先輩が私を迎えに来た。この人は私を迎えに来てばかりいるような気がして笑えてくる。彼は私をずっと放ったらかしだった事を大変気にしているようだった。
彼が珍しく眉を下げた顔をして、何度も私に謝罪をした。そんなに怒った顔をしているように見えたのだろうか。数分前の私ならどうしていたか分からないが、今の私は気持ちをとっくに切り替え終えている。それに、彼の珍しい顔を見れたのでもう気にしていない。
とにかく、パーティーが終わったのなら帰っても問題ないだろうと思い、先輩にそう伝えて早急に家に帰してもらった。
…どうも思っていたよりも疲れているらしい。自分の苦手なことは滅多にするものではないな。
ダイニングには、やっぱり両親がいて、見たくもない顔を見てしまった。肩の上に重りを乗せられたまま歩いている感覚がして、少しもこんなところに居たくないのにちっとも早く歩けやしない。
「A、パーティーは楽しんだかね？」
「…最高でしたよ」
「そうか！まさかルシウスさんに迷惑をかけていないだろうかと心配していたんだがね、杞憂で済んで安心したよ」
「そうですか。では、私はもう休みます…」
父親に対してのささやかな反撃といった所だろうか。しかし父は嫌味に気付かない。この人相手に、あれではささやかすぎたかもしれない。
やっとの思いで階段を登り、部屋に入ればヒェツキーの馴染みのある甲高い声に出迎えられる。
言われるがままに大人しくドレッサーの前に座って、私が化粧を落としている間にヒェツキーの手がコルセットの紐を解いていった。
散々締め付けられていた腹が解放されて、肺の嫌な圧迫感がなくなる。深く息を吸うのが久しぶりなようで、本当は数時間しか経っていない事に吃驚して、なんだか笑える。
でも乾いた笑いしか出てこなくて、またうんざりする空気が戻ってきてしまった。
気の抜けない生活の中で、つい安寧の地を求めてしまうことは決して悪いことではない。
そう言い訳をするけど。
今の私、とってもうじうじしている。最高だ。
いつから私はこんなに斜に構えてしまっているのだろう。
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亜京目(プロフ) - 有難うございます！ストレートな褒め言葉に顔のニヤケが収まりません…これからもよろしくお願いします。 (2018年12月4日 20時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんにちは、初コメ失礼致します。物語の設定とか描写の仕方がドストライク過ぎてとても好きです(^^) これからも更新楽しみにしてます。体調など崩されぬようご自愛くださいませ。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 雨さん» コメント有難うございます。最近の話の流れが難しく、四苦八苦しながら更新している状態です。ですが必ずまとめてみせます。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年9月22日 16時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 頑張ってください！更新楽しみにしてます！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - fairy taleさん» 暖かいお言葉をありがとうございます。自分の好きなように書いている物を読んで頂いていること、誠に感謝しております。これからもどうぞご愛読の方よろしくお願い致します。 (2018年8月29日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年8月17日 22時
